1話5分で読めるギリシャ神話

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第十歌後編:トロイア方の偵察者ベロン

アキレウスの馬と戦車
〈アキレウスの馬と戦車〉Amazonより

(イリアス 第十歌 後編)

偵察者ベロン、アキレウスの馬と戦車をこう。

一方、トロイア方もヘクトルの命令で、みな眠ることもできず招集されていた。
「ギリシャ軍が今後どんな行動に出るか、知りたい。誰か、ギリシャの船陣の中に行って、彼らがこのままトロイアの地を去るのか、あるいは何らかの策を練っているのか確かめてきてほしい。それ相応の褒美を取らす」

すると、ベロンが名乗りを上げた。
「では、勝った暁にはアキレウスの馬と戦車を私にくださると誓言してください」
ヘクトルはそれに答えて
「その戦車はそなた以外のトロイア人は乗らぬと、ゼウスとヘレにかけて誓おう」
ただちに、ベロンはギリシャの船陣へ向かった。

ベロン、オデュッセウスとディオメデスに捕まる。

「ディオメデスよ、敵陣から誰かやってくる。わが船陣を探りに来たのか。敵陣から離れたところで引っ捕えてやろう」
ベロンが船陣に近づいた時、ディオメデスは槍を投げた。
「止まれ、さもなくば槍で打つ」
槍はベロンの肩をかすめ、地面に刺さった。
「どうか殺さずに生け捕りにしてください。父が莫大な身代金を払いますので」

オデュッセウス、ベロンからトロイアの情報を得る。

オデュッセウスは、ベロンの行動の理由を聞いた。
「アキレウスの馬と戦車が欲しくて、ヘクトルの指示でギリシャ軍の動向を探るために来ました」
「あの馬と戦車は、女神を母に持つアキレウスにしか乗れないのだぞ」
オデュッセウスはそう言うと、トロイア軍と外国からの来援部隊の情勢を聞き出した。トロイア軍が夜の見張りをしていて、来援部隊は寝ていることなどなど。

その中には、トロイア軍の一番外れに着いた新たなトラキア王レソスの援軍についても触れられていた。彼らの馬の大きさと足の速さ、金銀をあしらった車、神にこそ似つかわしいしいその武装などなどを。

トロイア軍の情報を詳しく話したベロンは最後に、訊ねた。
「あなた方がトロイア軍に潜入している間、わしの身はどうなりますか」
すると、すかさずディオメデスがベロンの首をはね、彼の武装は女神アテナに捧げた。

トロイアの援軍トラキア王を虐殺し、凱旋

オデュッセウスとディオメデスはトラキア王レソスの駐屯地に着くと、ディオメデスは剣を振るい襲いかかり、12名のトラキア人をなぎ倒していった。その後、王レソスも13番目の犠牲とした。さらに、他のトラキア人も倒そうか思案していると、女神アテネがそばに来て言った。
「ディオメデスよ、今は帰ることを心がけよ。敵に追われて、逃げ帰るようなことになってはならぬ。他の神々がトロイア軍を奮起させぬとも限らぬ」
その間、馬を集めていたオデュッセウスとともにギリシャ船陣に帰って行った。

アテナの予想通り、この仕業を見ていたアポロンはアテナの加担に腹を立てて、王レソスの従弟ヒッポコオンの目を覚ましたが、オデュッセウスとディオメデスは無事ギリシャの船陣に帰り着いた。

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