1話5分で読めるギリシャ神話

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【第4歌】求婚者たちのテレマコス暗殺の陰謀

テレマコスが父オデュッセウスの消息を尋ねピュロスとスパルタに行ったことを知った求婚者たち。もはや、テレマコスを子供と侮ってはならぬと警戒し、いよいよ、テレマコス暗殺の陰謀を実行に移す決断をします。
ペネロペイアはその事実を知らされ嘆きますが、テレマコスの乳母エウリュクレイアと女神アテナが遣わした妹イプティメの幻に慰まられます。
テレマコスの運命は?疑問を残しつつ、『オデュッセイア 』第5歌からはオデュッセウスの漂流の物語に移行します。

アテネ、ペネロペの姉妹イプティメを装って、息子の帰還を告げる。
〈アテネ、ペネロペの姉妹イプティメを装って、息子の帰還を告げる〉

(オデュッセイア 第4歌 後編)

メネラオスはこう話すと、テレマコスに提言しました。
「テレマコスよ、11日か12日ここに留まってはどうか。その間に十分な土産物や馬も用意しよう」
それに対してテレマコスは、丁重にメネラオスに答えます。
「一刻も早く、イタケに帰りたいと思います。馬も土産物も船には積めません。また、ピュロスに残してきた仲間も、しびれを切らして私とネストールの息子を待っているでしょう」

求婚者たちのテレマコス暗殺の陰謀

その頃、イタケでは求婚者たちがオデュッセウスの屋敷の庭に集まっていました。
ノエモンが求婚者たちの中心のアンティノオスとエウリュマコスのところにやってきました。
「テレマコスがピュロスからいつ戻ってくるのか、我らはわかっておるのか。私の船で出かけたのだが、急にその船が必要になった」
予期せぬことに、二人は驚愕しました。
「なんだって、テレマコスはいつ出発したのか。誰が同行したのか。船は進んで貸したのか」
「ああ、なんといっても領主の息子の頼みだから貸したのだ。同行した者は、我らに次ぐ名門の若者20人だ。メントルも船に乗った。出発した次の日、この地でそのメントルを見かけただ。だから、メントルに扮したどこぞの神がテレマコスに同行したのに違いない」

アンティノオスは、すぐさま対策を講じました。
「テレマコスめ、青二才の分際で大それたことをしたものだ。今後は、我らにとって厄介者になるであろう。さあ、わしに船一艘と若者20人をくれ。イタケと岩だらけのサモスの間でテレマコスの帰りを見張っていよう」

メドン、求婚者たちの陰謀をペネロペイアに伝える。

これを立ち聞きしていたオデュッセウス家臣メドンが、ペネロペイアに告げに行きました。
「メドンよ、何か求婚者たちからの要求でもあるのか。かつてオデュッセウスが皆と平等に接していたのはよく知っていよう。それなのに、そなたたちの行動はあまりに恥知らず。今までの恩義に感謝する気持ちがないのであろうか」

メドンは答えます。
「お妃様、恥知らずの行いならまだ良いのですが、彼らはテレマコス若様の帰りを待ち伏せして殺そうとしています。実を言いますと、若様はオデュッセウス様の消息を尋ねて、ピュロスとスパルタに行っているのです。いずれかの神の意図かはわかりませんが」

そう言ったメドンがその場を去ると、ペネロペイアは嘆きます。
「夫に次いで、息子まで屋敷から去ってしまった。お前たち、あんまりではないか。私は何も知らされていない。誰か、ドリオス爺やを呼んでおくれ。急いで、ラエルテス爺に一部始終を報告させたいのです」
ラエルテスラエルテス爺とは、オデュッセウスの父親です。

テレマコスの乳母エウリュクレイアと妹イプティメの幻

テレマコスの乳母エウリュクレイアが、ペネロペイアに事情を説明しました。今まで言わなかったのは、母に心配をかけぬようテレマコスの指示であったこと、また、出発に際して食事や酒を用意したことなども伝えました。
「若奥様、どうか湯浴みをして着替えをなさり、女神アテネにお祈りください」

ペネロペイアは着替えたのち、アテネに祈りました。
「アテネ様、どうか私のせがれを求婚者たちの手からお守りください」

祈りを聞いた女神アテネは、ペネロペイアの妹イプティメの幻を送り、ペネロペイアを慰めました。
「姉さん、神々はあなたを泣き悲しませることはありません。あなたの息子が無事帰ってくることはもう決まったことなのだから。
また、あの子には誰もがそばにいて欲しいと思うような方、アテネ様が付いているのです」
「あなたが神か、神の声を聞いたのであれば、オデュッセウスは日の光の下に生きているのか、もう冥界にいるのか教えて下さい」
「そのことは、はっきりと話すわけにはいかぬ。風の如く定かでないことを語るのは良いことではない」
そう言うと、妹イプティメの幻は消え去りました。ペネロペイアは夢から覚めましたが、そのあまりに現実感があることから、心が温まり思いでした。

一方、求婚者たちは乗船し、テレマコス殺害を胸中にめぐらしつつ、戻ってくるのを待ち受けていました。そこは、イタケとサモスの間の島アステリスです。

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