1話5分で読めるギリシャ神話

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【第8歌】前編:オデュッセウス、トロイア物語に落涙

いつの世も、若者は大人を蔑みます? しかし、漂流でやつれていると言え、オデュッセウスは世にまれな大英雄です。バカにした若者もすぐ、オデュッセウスの実力に閉口してしまいます。
しかし、大英雄のオデュッセウスにしても、トロイアの物語を聞いては涙を流さずに入られません。トロイア戦争10年間、その後パイエケス国に至るまでの10年間、その苦労は想像を絶します。

楽人のトロイア物語に落涙するオデュッセウス
フランチェスコ・アイエツ〈落涙するオデュッセウス〉

(オデュッセイア 第8歌 前編)

オデュッセウスの帰国を正式に決める

次の朝、アルキノオス王は集会場にオデュッセウスを案内しました。集会場の近くにはパイエケス人の自慢の船が並んでいます。
「パイエケス国の評議にたずさわる人々よ、この客人は故郷にかえりたいと願い出ている。それで、従来からの慣行通り、至急52人の漕ぎ手を選び、帰国させようと思うがどうであろう。これから、客人を我が屋敷でもてなしたい。選ばれた若者と評議にたずさわる人々もおいで願いたい」
選ばれた52人の若者は出向の手はずをすべて整え、アルキノオス王の屋敷へ向かいました。

屋敷での食事の後、楽人がトロイアの物語を歌います。オデュッセウスは顔を着物で隠し、涙を流しました。誰にも気づかれることはありません。が、すぐ近くのアルキノオス王だけはそれに気付きます。
王は気分を変えさせようと
「これから戸外に出て、あらゆる競技を試みようではないか。客人が、我らパイエケス人が運動に優れていることを故国で語ってくださるであろうから」

若者たちの競技会と王の子ラオダマスの提案

若者たちによって、徒競走、角力、跳躍、円盤投、健闘の競技が行われました。
すると、アルキノオス王の子ラオダマスが仲間に提案しました。
「客人に競技の心得があるか聞いてみようではないか。漂流と歳のせいでやつれてしまってはいるが、お見受けしたところ、並外れた体つきをしている」

仲間が賛成すると、オデュッセウスに話しかけます。
「いかがです、おじさん、何か競技の心得がありましたら、競技に参加してみては。お旅立ちももうすぐですから、その前に憂さをお晴らしください」
「ラオダマスよ、なにゆえ私を蔑むようなことを口にする。今の私の心は心労のあまりで、競技どころではない」
すると、エウリュアロスが罵るように
「お客人、そんなことだろうと思っていた。あなたは暴利をむさぼる商人か何かで、とても競技をするような柄ではない」
「けしからぬことを言う。ずいぶん思い上がったお人のようだ」

オデュッセウスの力に、パイエケス人沈黙する。

オデュッセウスは大型の円盤を取り上げると、力一杯遠くへ投げました。
「誰でもいいから、投げてみよ。私を超えることができれば、さらにそれを超えて投げてみせよう。競争でも、拳闘でも、相撲でもなんでも良い。誰か私に挑戦してみよ。ただし、ラオダマスを除いてな。彼は私をもてなしてくれるお人だから」
こういうと、オデュッセウスは弓の心得を始め、様々な競技での経験と心得を語りました。
パイエケス人は驚き、口をつぐみました。

アルキノオス王が、場を盛り上げるために話します。
「客人が若者に罵られ、その技量を見せるのはもっともなこと。しかし、今は私の言うことを聞いてもらいたい」
こういうと、アルキノオス王は舞台を設えさせます。若者たちが踊った後、楽人デモドコスは竪琴を取ると、歌い始めました。
女神アフロディーテと軍神アレスの浮気話でした。

アフロディーテ(ビーナス)の浮気】参照

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