1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

予言者カッサンドラーと双子のヘレノス

カサンドラーは母となる喜びもなく、若い身空のまま死んでしまいました。予言者である彼女は、そんな自分の悲惨な人生が訪れることを知っていたのです。
また、イタリア語では日常の会話で「カッサンドラー(Cassandra)」というと、「不吉、破局」といった意味を持たせて使うのだそうです。

カッサンドラー
エマ・ハミルトン〈カッサンドラー〉

カッサンドラーは、トロイアのプリアモス王とヘカベーとの間に生まれました、武将であり予言者のヘレノスとは双子との説も。だから、アキレスに討たれたトロイア最強の武将ヘクトルとトロイア戦争の原因を作ったパリスとは兄弟関係にあります。

アポローンから予言の力を得たカッサンドラー

予言の力を得たカッサンドラーは、アポローンの自分に対する未来を見てしまいます。アポローンと愛を交わした後、神が去ってしまうことを一瞬で見てしまったのです。
そのため、カッサンドラーは、アポローンと交わることを拒否しました。

怒ったアポローンは、カッサンドラーの予言をトロイアの人々が信じないようにしました。

そのため、パリスがヘレネーを奪ってきた時も、木馬をトロイアの城内に引き入れようとした時も(ラオコーンとともに)、「破滅につながる」と予言しましたが、トロイアの人々は誰も信じなかったのです。結果、トロイアは滅びます。

しかし、分からないのが神アポローン。トロイア戦争中、神はいつもトロイアに味方していたのですから。

小アイアスに対してアテーナの復讐を嘆願しているカサンドラ
ジェローム=マルタン・ラングロワ〈小アイアースに対してアテーナの復讐を嘆願しているカサンドラ〉
この絵は異時同図法で、右上に小アイアースに犯されるアテーナ像に抱きついているカッサンドラーも描かれています。

カッサンドラー、陵辱される。

トロイア陥落時、カッサンドラーはアテーナの神殿にいました。そこに現れたのが、ギリシャの武将アイアース。(ギリシャ側では、アキレウスにつぐ武将で有名なのはアイアース)

この時、カッサンドラーはアテーナ像に抱きついていました。小アイアースはアテーナ像もろともカッサンドラーを押し倒しました。ギリシャへの帰国時、小アイアースの一行は女神アテーナによる嵐により難破します。

しかし、小アイアースは一時ポセイドーンにより助けられ、岩礁に上がると叫びました。
「私は死なない。神の怒りは自分には及ばない」
さすがに、ポセイドーンも怒り、三叉の矛を投げつけて岩礁を打ち砕き、彼は溺死しました。

アテーナの怒りは、小アイアースだけにとどまらず、ギリシャの残った武将にも多大な災難をもたらしました。中でも、オデュッセウスはその後10年間も諸国を漂流するためになったのです。

アポローン同様、アテーナの神意も図ることはできません。

カッサンドラーの死

トロイア戦争後、カッサンドラーはギリシャ総大将アガメムノンの戦利品となり、側女になりました。アガメムノンの故郷スパルタに連れて行かれます。しかし、アガメムノンを待ちかねていた妻クリュタイメストラ(クリュタイムネストラ)と情夫アイギストスに、アガメムノンともども殺されてしまいます。

カサンドラーは母となる喜びもなく、若い身空のまま死んでしまいました。予言者である彼女は、そんな自分の悲惨な人生が訪れることを知っていたのです。

カッサンドラーと双子のヘレノス

ヘレノスは予言者であり、武将。トロイア戦争時には、戦いに出て、兄ヘクトールに助言もしています。他の武将の意見を聞かないヘクトールも、弟ヘレノスの助言には耳を傾けることがあります。
苦戦するトロイア軍を救うため、城内に戻りアテーナの神殿に祈りを捧げること。また、ギリシア軍の武将に決闘を申し込むことも助言したほどです。

トロイア軍が優勢でギリシア軍の船場の防壁を攻撃した時、デーイポボスとともに第三部隊を指揮していました。しかし、メネラオスの槍に手を貫かれて後退し、アゲノールに手当てをしてもらいました。

パリスの死後、ヘレノスはデーイポボスとヘレネーを争う。

しかし、父であるプリアモス王は、ヘレネーをデーイポボスの妻にしました。ヘレノスは怒りと落胆の中、
イーデー山に引きこもりました。

ヘレノスは予言者でありトロイア攻略のことも知っていたため、オデュッセウスは彼を捕らえました。そして、その方法を彼に問うたのです。ヘレノス曰く、

1. ペロプスの骨をトロイアに持ってくること
2. アキレウスの子ネオプトレモスを参戦させること
3. トロイアからパラディオンを盗み出すこと
4. ピロクテテスがヘラクレスの弓を持って参戦すること

4つのことはすべて成就し、結果トロイアは滅びます。

ペロプスの骨:タンタロスの美貌の子。父タンタロスによって殺され、神々の食卓に供されました。この時、ほとんどの神々は気づきましたが、ペルセポネーを失い落胆していた女神デーメーテールは肩の肉を食べてしまいました。後、ペロプスは神々により、甦ります。この時の肩の骨か?

パラディオン:都市の安全を守るとされている神像。オデュッセウスとディオメデスがトロイの城塞から盗んだアテーナの木製の像。

前のページへ