1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

冥界の河ステュクスと渡し守カローン

冥界に流れる河ステュクスとその船頭カローン。この二人(河でも神格があります)には、メインの物語がありません。サブ・キャラでしか登場しません。しかし、有名なギリシャ神話にたびたび出てきます。また、ギリシャ神話をベースにしたダンテの『神曲』地獄篇にも登場します。
ところで、スティクス(Styx)というバンドをご存知でしょうか。1981年アルバム『パラダイス・シアター』からのシングル「The Best of Times」が大ヒットしました。

ステュクスを渡るカローン
ヨアヒム・パティニール〈ステュクスを渡るカローン〉

ステュクスへの誓いは、神々でも破れない!

ステュクスに誓ったアポローンさえ、その誓いを破るわけにはいきませんでした。
その結果、アポローンは最愛の息子パエトーンを死なせてしまいました。

ステュクスは、ティターン神族オーケアノスとテーチュースの娘。冥界を七巻きしている河で、オーケアノスの支流として、十分の一を割り当てられています。

ステュクスの水を汲みに行く虹の女神イーリス

オリュンポスの館に住む神々で、嘘をつくものがあるかどうか判断する時は、ゼウスは女神イーリスにステュクスの水を汲みに行かせます。

聖なる河から流れ出る水。十分の九は、銀の渦巻く流れで、大地と海の広い背を巡り、オーケアノスに流れ込みますが、十分の一は巌から流れ出ます。

オリュンポスの神々でも偽りの誓いをすると、1年間、呼吸を止めて横たわり、アンブロシアとネクタルに近づくことができません。
また、さらなる苛烈な試練が待っています。9年問、神々から離されて、会議にも宴席にも出られません。再びでられるのは、10年目になります。

ステュクスの水を運ぶ虹の神イーイス
ガイヘッド〈ステュクスの水を運ぶ虹の神イーイス〉

冥界の河の渡し守カローン

カローンは、冥界の河ステュクス(憎悪)あるいはその支流アケローン川(悲嘆)の渡し守。エレボス(闇)とニュクス(夜)の息子で、長い髭の無愛想な老人。死者の霊を小舟で彼岸へと運びます。

冥界の河の渡し賃は、1オボロス
渡し賃は、1オボロス銅貨。古代ギリシアでは、死者の口の中に1オボロス銅貨を含ませて弔う習慣がありました。1オボロス銅貨を持っていない死者は後回しにされ、200年の間その周りをさまよってから、やっと渡ることが許されます。

映画などで死者の目の上にお金をのせたりするのは、冥界の河を渡る渡し賃です。日本でも、死者には三途の川の渡し賃として、硬貨をもたせます。

カローンが、生きたまま冥界の河を渡した人々

テーセウスとペイリトオス
テーセウスの友ペイリトオスは、無謀にも冥界の王ハーデースの妻ペルセポネーと結婚しようとしました。カローンが、なぜまだ生きているテーセウスとペイリトオスを渡したのかは疑問です。

ヘラクレス
カローンはヘラクレスの腕力により、無理やり渡さざるをえませんでした。この件で、カローンは冥界の王ハーデースに罰せられ、1年間鎖につながれました。

オルフェウス
死んだエウリュディケーを連れ戻しにきた時、オルフェウスの竪琴の音に魅了されて渡しました。

冥界の河の渡し守カローン
アレクサンドル・リトフチェンコ〈冥界の河の渡し守カローン〉

アイネイアース
巫子シビュレーの協力でペルセポネーに捧げる黄金の枝を持ってやって来たアイネイアース。その尊い贈り物に機嫌を良くして彼を渡しました。

プシュケー
エロースの母アフロディーテの3つの試練、最後の一つは、冥界の妃ペルセポネーに肌のツヤが出る化粧品を取りに行くことになったプシュケー。冥界には死なないといけません。プシュケーは死を覚悟して、塔から飛び降りようとしましたが、ある声に救われました。その声は、カローンに渡す1オボロス銅貨2枚を持って行くことをプシュケーに伝えました。

ダンテとウェルギリウス
『神曲』地獄篇では、ダンテは地獄界に回ります。その時、カローンはダンテとウェルギリウスを船に乗せます。ギュスターブ・ドレや他の画家が、多くモチーフに取り上げています。

冥界の河の渡し守カローン
ギュスターブ・ドレ〈冥界の河の渡し守カローン〉

前のページへ