1話5分で読めるギリシャ神話

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ギリシャ神話史上、最大最強の怪物テューポーン

エトルリアの壁画
〈テューポーン〉エトルリアの壁画

テューポーンは大地女神ガイアの子

ティタノマキア(タイタン:ゼウスの父クロノスの仲間との戦い)とギガントマキア(巨人族戦争)に勝利したゼウスとオリュンポスの神々。

息子たちティターンとギガンテスを幽閉されたり、殺されて怒りが収まらない大地女神ガイア。女神は、ギリシャ神話史上、最大最強の怪物テューポーンを、タルタロス(奈落でなく原初の神々の一人)との間に生み落としました。

テューポーンの大きさは、頭は天に届き、両腕を広げると世界の果てにまで達します。火のように輝く目を持ち、炎を吐きます。また、その両肩からは恐ろしい竜蛇の頭が百も生え出ています。腿から上は人間と同じですが、腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形をしているといわれています。

デウスとテューポーンの戦い

そんなギリシャ神話史上、最大最強のテューポーンがデウスに挑み、オリュンポスに進撃。この時、オリュンポスの神々は動物に化けて、エジプトまで逃げ去りました。

アポローンは鷹に、ヘルメースはコウノトリに、アレースは魚に、アルテミスは猫に、ディオニュソスは牡山羊に、ヘラクレスは小鹿に、ヘーパイストスは牡牛に、レートーはトガリネズミに変身したといいます。
それで、エジプトの神々は動物の姿をしているのです。

一説には、ゼウスは牡羊に、アポローンはカラスに、ディオニュソスは牡山羊に、アルテミスは猫に、ヘーラーは白い牝牛に、ヘルメースは朱鷺に変身したといいます(オウィディウス『変身物語』)。
しかし、ゼウスが逃げてはテューポーンとの戦いができないので、ゼウスは逃げなかったはずです。

タナシウス・キルヒャー(のエジプト学の最高傑作)から
〈テューポーン〉タナシウス・キルヒャー(本の挿絵)

ゼウス生涯でたった一度の敗北をさせたテューポーン

テューポーンがデウスに挑み、オリュンポスに進撃してくると、ゼウスは雷霆や金剛の鎌を用いて応戦しました。
戦いの当初、ゼウスは離れた場所からは雷霆を投じてテューポーンを撃ち、接近すると金剛の鎌で切りつけました。テューポーンはシリアのカシオス山へ追いつめられました。

しかし、テューポーンはカシオス山で反撃に転じ、ゼウスを締め上げて金剛の鎌と雷霆を取り上げ、手足の腱を切り落とし、デルポイ近くのコーリュキオンと呼ばれる洞窟へ閉じ込めてしまいました。そしてテューポーンはゼウスの腱を熊の皮に隠し、番人として半獣の竜女デルピュネーを置き、自分は傷の治療のために母ガイアの下へ向かったのです。

救出に向かったのが、息子ヘルメース。盗みの神といわれる彼は、隠されたゼウスの手足の腱を巧みに探しあて、ゼウスの身体に戻しました。ゼウスは力を回復し、再び激しい戦いをチュポーンに挑みます。
ここでまた、ゼウスの力がテューポーンを上回り始めます。

勝利の果実と無常の果実

テュポーンはゼウスに勝つために運命の女神モイライを脅し、どんな願いも叶うという「勝利の果実」を手に入れました。
しかし、その実を食べた途端、テュポーンは力を失ってしまいました。実はモイライがテューポーンに与えたのは、決して望みが叶うことはないという「無常の果実」だったのです。

テューポーンはトラーキアでハイモス山(バルカン山脈)を持ち上げてゼウスに投げつけようとします。
しかし、ゼウスは雷霆でハイモス山を撃ちます。テューポーンはハイモス山に押しつぶされ、血がほとばしりました。最後は、テューポーンはシケリア島まで追い詰められ、エトナ火山の下敷きにされたと言われています。
あるいは、ゼウスは力の弱ったチュポーンをタルタロス(冥界)へ投げ込み、封じ込めました。

ここにいたり、大地女神ガイアもゼウスを世界の王と認めました。

(色々な説を、一つにまとめました)

→ ティタノマキア、ゼウス神々の王に
→ ギガントマキア、ゼウス完全制覇へ

テューポーン:州立古代美術博物館(ドイツ)

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