〈ヘラとゼウス〉
ゼウスは、相手にあわせて自分を変える
父にダナエが地下に幽閉された時、ゼウスは金の雫(しずく)となって彼女に降りかかり、ペルセウスが生まれます。
現在の妃ヘラを口説いた時は、雨の日にカッコウに化けて濡れてまでして、ヘラに可哀想に思わせます。そして、ヘラから部屋に入ることを許されたとたん、すぐ元の姿に戻り抱きつきます。
また、女神レーダーの場合は、白鳥となり鷹に襲われたように見せかけ、彼女の腕の中に逃げこみます。
2つの卵が生まれ、ヘレネ(トロイア戦争の原因)とクリュタイムネーストラー(アガメムノンの妻)、カストルとポリュデウケスの男女の双子が生まれました。
これって世界の覇王である神のすることでしょうか? 思うにただ「近うまいれ!」とだけ言えばいいはずです。それでも、ゼウスは相手の女神や女性の立場を考えて、自分を変えているのです。口説くためなら、なんでもするのです。
だから、ゼウスに大いに学びましょう。
私たちも、相手にあわせ、自分の方から積極的に変わりましょう、恥も外聞も捨てて。自分は引っ込み思案だからと言って、逃げていてはダメなのです。
ゼウスは他人の手も使う
エウロペを口説く時には、息子ヘルメスに山から牛の群れを追わせ、一頭の白い牛となって群の中にまぎれこみます。白い牛はエウロペやまわりの女性たちの気を引き、彼女たちが近づいてきます。そして、身をかがめ、エウロペが背に乗るやいなや、猛然と海に向かって逃げます。
浮気の現場でも、最後までしらを切る
イーオーと密会している現場をヘラに押さえられたゼウス。イーオーを雌牛に変えて、浮気をけっして認めません。こう言ってほしい奥さんも、世の中には多くいるようですね。
が、ヘラは並の奥さんとは違います。
「では、その牛を私にください」とゼウスに頼みます。これでは、ゼウスも嫌とは言えません。その後のイーオーの苦難を考えると、「ゼウスよ、ちょっとは彼女のことを考えなさい!」と言いたくなります。
ゼウスは深慮遠謀家
ゼウスは単なる女好きではありません、深慮遠謀でもあります。
婚約者アンピトリュオンが戦場に行っている時に、ゼウスは婚約者に化けてアルクメネにヘラクレスを生ませました。来るべきギガントマキア(巨人族との戦い)のために、人間が必要になるからです。
自分は引っ込み思案だからできないと言う人や自尊心が高くて行動できない人が多いです。しかし、恥だろうが、外聞が悪かろうが、まずは自分の方を変えましょう。
そして、常日頃から自分に言い聞かせましょう。
「いいと思ったことは、すぐやってみる。それから、結果を考える。やる前から反省モードにならない」。分かっちゃいるけどできない、とは言わない。あ、言ってるか!