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ゴッホ「糸杉と星の見える道」ゴッホ〈糸杉と星の見える道〉

アポロンに愛された少年

アポロンに愛され水仙になったヒュアキントスは有名ですが、キュパリッソスはあまり知られていません。西洋でよくみられる糸杉、それが彼の変身した後の姿です。

キュパリッソスは、まれにみる美少年。アポロンからも愛されていました。

ケオス島のカルタイアの野のニンフに捧げられた金色のツノを持った大鹿がいました。首には宝石をちりばめた首輪、額にはお守り、耳には真珠の飾りがたれていました。

この大鹿には恐怖心も臆病さもなく、良く村にやってきていました。村人はみんなこの大鹿をかわいかって、頭をなぜてあげました。とりわけ、キュパリッソスはこの大鹿を誰よりもかわいがっていました。

彼は大鹿を新しい草を食べさせに行ったり、澄んだ泉に水を飲みにも連れて行きました。花輪を編んではツノにかけたり、大鹿の背中に乗って遊んだりもしていました。

大鹿を突き刺してしまったキュパリッソス

ある暑い日、大鹿は木陰で休んでいました。キュパリッソスは間違って、持っていた槍で大鹿を突き刺してしまいました。死にかけている大鹿を見ていると、少年は自分も死にたいと思いました。

「嘆きはそのくらいにして、あまり度を超すことがないようにしなさい」
アポロンはできるだけの慰めの言葉をかけました。が、キュパリッソスはうめくばかりで、神に最後の願いとして、

「いつまでも嘆いていたい」
と言うのです。さすがのアポロンさえ、もうどうすることもできません。

やがて、悲しみのために血もかれて、その体はひからびて緑色になりました。髪の毛は逆立ち、細い針のような葉となり、梢となり、空を仰ぐようになりました。糸杉になってしまったのです。

アポロンは、最後に糸杉になったキュパリッソスに優しく声をかけました。
「お前への哀悼は、私がしよう。そのかわり、お前はほかの人々を悼み、悲嘆にくれている者たちの友となるのだ」

糸杉(学名:Cupressus、英:Cypress)
きれいな円錐形になるため、クリスマスツリーに使われるが、死の象徴であるため、墓地によく植えられます。イエス・キリストが磔にされた十字架は、この木で作られたという伝説もあります。

【糸杉の花言葉】は、死・哀悼・絶望。
死や喪の象徴とされます。文化や宗教との関係が深く、古代エジプトや古代ローマでは神聖な木として崇拝されていたほか、キプロス(Kypros, 英: Cyprus)島の語源になったともされています。(ウィキペデイアより)