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ディオニュソスと付添人〈ディオニュソスと付添人〉

ザグレウスは、ゼウスとペルセポネの子

ゼウスは冥界の王ハデスの妻となったペルセポネに蛇となって近づきました。なんと、ゼウスは自分の娘に近づいたのです。そして、生まれたのがザグレウス(第一のディオニュソス)です。

ゼウスはザグレウスを寵愛し、自分の後継者にしようと考えていました。また、ザグレウスも大蛇の姿で、ゼウスに付き従っていました。

当然のごとく、ゼウスの妃ヘラは嫉妬し怒ります。ヘラはザグレウスを亡きものにしようと、邪悪なタイタン(またはギガンテス)を彼に送りました。ザグレウスは色々な動物に変身して対抗しました。が、牛に変身した時に捕らえられ、殺されてしまいました。

その後、タイタンはザグレウスの四肢をバラバラにして、煮て食ってしまったのです。

ただ、ザグレウスの心臓だけは女神アテナによってゼウスに届けられました。ゼウスはザグレウスの心臓を呑み込んでセメレと交わり、第二のディオニュソスが生まれたのです。

また、怒ったゼウスはタイタンに雷霆を落とし焼き殺し、灰にしてしまいました。その灰から造られたのが、人間です。

だから、人間はタイタンの邪悪さを受け継いでいるのです。しかし、タイタンに食べられたザグレウスの肉も一部あり、それが人間の善良な部分になっているのです。

ザグレウスとオルフェウス教

オルフェウス教のモザイク〈オルフェウス教のモザイク〉

冥界に妻エウリディケーを取り戻しに行った詩人オルフェウスを開祖とみなしている密儀宗教が、オルフェウス教です。

このオルフェウス教に登場する少年神がザグレウスです。このザグレウスを惨殺したタイタンをゼウスは憎み、その雷霆で彼らを打ち、灰としました。その灰から人類が誕生。この灰にはタイタンの肉とザグレウスの肉(喰らったため)が混ざり合っています。

そのため、ザグレウス(ディオニュソス)の要素から発する霊魂が神性を有するにもかかわらず、タイタン的素質から発した肉体が霊魂を拘束することとなりました。

つまり、人間の霊魂は「再生の輪廻」に縛られ、死んでもこの輪の中に引き戻されてしまいます。この輪を脱するには、オルフェウス教ではその本源であるディオニュソスに帰依し、その教義を守る必要があるとされます。

ギリシャでは、「生きたまま牡牛を捕まえた狩人」のことを「ザグレウス(zagreus)」と呼ぶそうです。