1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

ひまわりになったクリュティエ

(更新日:2021.02.18)

このギリシャ神話でわからないことが二つあります。
一つは、なぜレウコトエの父オルカモス王が娘レウコトエと太陽神アポローンの恋に激怒したのか?
ギリシャの神であるアポローンはペルシャ(バビロン)の神とは異なるからでしょうか。
もう一つは、なぜアポローンはもっと早くレウコトエの父の激怒に気づかなかったのか? また、それに対処しなかったのか。あるいはできなかったのか。

水のニンフ・クリュティエ
〈水のニンフ・クリュティエ〉

恋に乱れる太陽神アポローン

女神アフロディーテと軍神マルスとの密通を女神の夫ヘーパイストスに告げたのは、太陽神アポローン(「ヘーリオス」とも)です。
これを根にもったアフロディーテは、アポローンに仕返しをします。またも、息子エロースの矢を使って。

アポローンは太陽神。毎日きちんと日の出と日没の時間を決めて、太陽の二輪車に乗り天を駆けます。それが今や、日の出の時刻に遅れたり、冬なのに日没の時刻を遅らせ、長く西の空にいます。
また、その心の陰りが日食という形で表われています。この乱れは、すべてレウコトエへの恋のためです。

レウコトエ、絶世の美女エウリュノメーの娘

レウコトエは、ペルシャ王オルカモスの妃・絶世の美女エウリュノメーの娘。娘の美貌の方が、母に勝っていたということです。

ある日、大空を朝から日没まで二輪車を駆けおえたアポローンは母のエウリュノメーに変身し、レウコトエの部屋を訪れました。彼女は12人の侍女にかしずかれて、糸を紡いでいました。母親に変身したアポローンは、彼女に接吻すると侍女たちに言いました。
娘と大事な話がありますので、みなさんは部屋から出てください

侍女たちが部屋を出ていくと、
私は、一年の基準となる神だ。
いつも大空から万物を見下ろしている。
また、私の放つ明るさによって、万物全てが見分けられるようになる。
いわば、私は世界の眼なのだ。その私が、お前に恋をしてしまった

レウコトエはびっくりして、手にしていた糸巻棒を落としてしまいました。その可憐な姿にアポローンは本来の姿に戻り、彼女を抱きしめました。レウコトエも、その神々しさに抗うこともなく、身を任せてしまいました。

クリュティエのレウコトエに対する嫉妬

このことを知ったアポローンの恋人である水のニンフ・クリュティエは嫉妬に燃えました。
今までの私への愛は、どこは行ってしまったの!
人間の分際で私を押しのけるとは、けっして許せない!

クリュティエはレウコトエの父オルカモス王のところへ出向き、あることないこと告げ口します。
お前の娘は淫らだ。
その色気でアポローンを誘惑し、密通している。
いつになっても、神を私に返してくれない!

気性の荒い父オルカモス王は、怒りからレウコトエを深い穴に生き埋めにしてしまいました。

レウコトエの死とひまわりになったクリュティエ

天空を駆けていた太陽神。すぐに気付いて駆けつけると、穴からレウコトエを救出しました。
しかし、もはや彼女には生気はありません。体を光線で温めたりして生き返らそうとしましたが、無駄でした。アポローンは、息子パエトーンの死以来の悲しみに襲われました。
アポローンはレウコトエの墓に天界のネクタルとアンブロシアを注ぐと、美しい香木が生えてきたといいます。

しかし、決してクリュティエのもとには戻りませんでした。

クリュティエは、失恋の痛みにやせ細っていきました。9日の間、姉妹の顔を見るのもいやで、食事もとらず、化粧もせず、地面に座っていました。ただただ、朝から晩まで大空をゆく太陽神に自分の顔を向けているだけです。

そして、いつのまにか大地に根を生やし、「ひまわり」になっていました。

※「ひまわり」ではなく、「ヘリオトロープ(太陽の方を向くもの)」という説(オウィディウス:変身物語)もあります。

ヘリオトロープ
〈ヘリオトロープの代表種キダチルリソウ〉

クリュティエ イーヴリン・ド・モーガン〈クリュティエ〉

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