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エオスとケパロスゲラン〈エオスとケパロス〉

エオスの予言

ケパロスは既婚者で、その美しい妻の名はプロクリス。女神アルテミスのお気に入りの乙女です。アルテミスは彼女に足の速い犬ライラプスと、絶対に的をはずさないという槍を与えていました。

曙の女神エオスは朝早く狩りに出ているケパロスに恋をし、連れ去りました。この女神は恋心がうずくと、止めることができないのです。

しかし、妻を愛していたケパロスは女神の恋を拒み、怒った女神は予言しました。
なら、戻るがいい。だか、戻ったことが後悔を生むことになるであろう

いたずらキツネと足の速い犬ライラプス

ある日のこと。腹の虫が暴れたある神が、いたずらキツネを野に放ちました。そこで、村人はケパロスの腕を見込んで、彼にキツネ退治を頼みました。

彼はキツネを見つけると、ライラプスを放ちました。犬は風のようにキツネを追いかけます。

しかし、神のキツネです。ライラプスをしても捕まえることができません。二匹とも、凄い早さで追いかけっこをしています。

いらだったケパロスは、的を外さない槍を投げようとしました。その時です。二匹とも素晴しい動きのまま止まったかと思った瞬間、石に変えられてしまったのです。神が二匹の走る姿に感動して、石として残したのです。

プロクリスの死レイ〈プロクリスの死〉

ケパロスの浮気?

いつものようにケパロスは狩りに出かけました。夕方になると泉のそばの草むらで服を脱ぎ、仰向けに寝転びました。

「さあおいで、甘いアウラー(そよ風)よ。この熱くほてった胸をさましておくれ。私の愛がどれほど深いか知っているだろう」

悪いことに、通りかかった村人がその声を聞き、ケパロスが浮気していると勘違いしてプロクリスに伝えてしまいました。

「夫が、けっして浮気するはずがない」
プロクリスは信じていましたが、次の日こっそり泉のそばの茂みに隠れることにしました。そこへいつものように狩りを終えたケパロスがやってきて、服を脱ぎ、仰向けに寝転びました。

「さぁおいで、甘いアウラー(そよ風)よ。この熱くほてった胸をさましておくれ。私の愛がどれほど深いか知っているだろう」

プロクリスの死

その声を聞いたプロクリスは、うめくような声を出してしまいました。ケパロスはその声を野獣と勘違いします。すかさず、絶対に的をはずさないという槍を茂みに投げてしまったのです。

「キャ〜」
彼はその叫び声が誰であるかすぐ気づき、駆けつけました。彼女は血を流しながらも、槍を胸から抜こうとしていました。

「あなた、私を愛しているのなら、決してその憎らしいアウラーとは再婚なさらないで!」

もう手遅れですが、急いでケパロスは説明しました。プロクリスは彼の顔を憐れむような、許すような目をしながら見つめていました。その顔は、また安堵した顔でもありました。が、死からは逃れられません。プロクリスは、ケパロスの腕の中で、安らかに息を引き取りました。

この結果を、曙の女神エオスはどのように思ったことでしょうか?
「そら、みたことか」との言い伝えはありません。

また、ケパロスに再度アタックしたこともなかったようです。

エオス(アウローラ)神話とセミになったティトノス

ケパロスとプロクリスフラゴナール〈ケパロスとプロクリス〉