1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

イカロスの翼

3枚目の絵画は、有名なブリューゲルの〈イカロスの墜落のある風景〉ベルギー王立美術館です。今では、無名の画家がブリューゲルのオリジナルを早期に模写した良質な複製画であると考えられています。
ところで、この絵画のどこでイカロスが墜落しているかわかりますか?
右の方に船が停泊しています。この下のほうに2本の足が海面に出ています。これがイカロスです。
しかし、手前の農夫やその向こうにいる人物はイカロスの墜落に気付いていないようです。さらに、海を見下ろしている人物も、目の前に墜落したイカロスに気づいていないようです。それは、なぜなのか?

イカロスの墜落のある風景
シャガール〈イカロスの墜落〉ポンピドゥー・センター

テーセウス、アリアドネーを連れてクレタ島から逃亡

ダイダロスは思いました。
「ミーノース王は陸と海を支配できても、
大空を支配することはできないだろう。
私は、この大空から逃げてみせよう!」

アテーナイから怪獣ミノタウロスへの生け贄として、クレタ島に差し出されたテーセウス一行(7人の少年と7人の少女)。
しかし、テーセウスはミノタウロスを倒して、ラビリンス(迷宮)脱出しました。
ラビリンスを脱出できたのは、ミーノース王の娘アリアドネーのおかげ。
アリアドネーは、クレタ島に着いたテーセウスに一目惚れをしていたのです。
なんとかテーセウスを助けたいと思い、知恵者ダイダロスの助言を得てテーセウスにその方法を教えたのです。

「テーセウス様
ラビリンスの入り口にこの糸の端をくくりつけてから、
糸を伸ばしながら奥に行ってください。
そして、ミノタウロスを倒したら、
その糸をたどって入り口に戻ってください」

ラビリンスに閉じ込められたダイダロスとイカロスの父子

ミノタウロスを倒したテーセウスは、アリアドネーを連れてクレタ島を逃亡しました。
ミーノース王は、不審に思いました。

「アリアドネーにそんな知恵があったのか?
そうだ!あのダイダロスが教えたのに違いない!」

ダイダロスはラビリンスの設計者。ミーノース王の信頼を得ていましたが、こうして王の不興を買い、息子イカロスとともにラビリンスに閉じ込められてしまったのです。

しかし、ダイダロスは知恵者であり優秀な技術者です。
「私は、この大空から逃げてみせよう!」
ダイダロスは、ラビリンスの中で翼を作りはじめました。

ダイダロスとイカロス
ヴァン・ダイク〈ダイダロスとイカロス〉アートギャラリー・オブ・オンタリオ

翼を造るダイダロス、イカロスに飛び方を教える

ダイダロスは小さい鳥の羽はロウでかため、だんだんと大きな羽を糸で結わえます。完成した翼をつけ、羽ばたいてみました。すると、体が宙に浮きあがりました。
ダイダロスは息子イカロスにも翼をつけさせ、飛び方を教えました。

「イカロスよ。必ず中空を飛ぶのだぞ。
低すぎると海の水しぶきで羽が重くなる。
高く飛ぶと、太陽の熱でロウが溶けてしまう。
まぁ、私についてくれば安心だ」

太陽に近づき過ぎたイカロスの最後

ダイダロスとイカロスの父子人は、ラビリンスから飛び立ちました。ダイダロスは、たびたび振り返ります。息子がちゃんとついてきているか、確かめるためです。イカロスは、はじめ父についていくことが精一杯。しかし、しばらくすると空を飛んでいることがたんだん楽しくなってきました。そして、いつのまにか父を見失い、空高く飛んでいたのです。

イカロスの翼は太陽に近づいていくと、ロウが柔らかくなり溶け始めました。羽はバラバラになり、イカロスは、海に真っ逆さまに落ちていきました。

「イカロス!イカロ〜ス!」
落ちていくイカロスに気づいたダイダロスは叫びました。が、もはや手遅れです。

ダイダロスはイカロスの遺体を落ちた近くの島に埋め、その島をイカリア(エーゲ海にある島)と名づけました。自分はシケリア(イタリアのシチリア島)に行き、ここにアポローンの神殿を建て、その翼を捧げました。

その後のダイダロスとミーノース王の最後

一方、ダイダロスに逃げられたミーノース王は怒りでモンモンとしていました。が、ついに一計を案じます。
「トリトン貝(巻き貝)に糸を通した者には、賞金を与えよう」
と、近隣の国に布告したのです。〈この難問を解く者はダイダロスしかいない〉と、王は確信してしたのです。

ミーノース王の確信どおり、ダイダロスの回答をえたシケリア王から連絡が入りました。
その回答とは、
「貝殻の先端に穴を開け、そこに蜂蜜をぬり、
糸を付けたアリをもう片方の穴から這わせて通します」

「ふふふ、してやったり」
喜んだミーノース王はシケリアに乗り込み、ダイダロスの引き渡しを迫りました。しかし、シケリア王はダイダロスを失いたくありません。そこで、風呂に入っているミーノース王に熱湯をかけ、殺してしまいました。偉大なクレタ文明を作った王のなんとも儚い運命でした。

テーセウス物語 前編 父との再会とミノタウロスの生贄に志願

ミノタウロスの誕生と悲しき母パーシパエー

イカロスの墜落のある風景
ブリューゲル〈イカロスの墜落のある風景〉ベルギー王立美術館
ところで、この絵画のどこでイカロスが墜落しているかわかりますか?

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