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エンデュミオーン〈エンデュミオーンとセレーネー〉

月の神セレネーの不安

恋多き曙の女神エオスの妹である月の女神セレーネー。

ある夜、女神は天から寝ている美しい羊飼いの若者を見つけました。エンデュミオーンです。エオスと同じくセレーネーの性(さが)でしょうか!

セレーネーは天から下りてくると、そっとエンデュミオーンに近づき接吻しました。目を覚ました彼は驚きましたが、女神の美しさに恋に落ちました。そして、一緒にラトモス山で暮らすことになりました。

数年後、二人には多くの子供もできました。まわりからは幸せな家族と思われていましたが、セレーネーの心にはある悲しみが育っていました。
「やがて、人間の彼は老いて死んでしまう」

エンデュミオーンワッツ〈エンデュミオーン〉

「あなたは、いずれ死んでしまう」

女神はこの悲しみをエンデュミオーンに打ち明けました。「あなたは、いずれ死んでしまう。それを思うと......」「人間なのですから、それは運命です」

「でも、でも一人ぼっちになってしまう私はどうしたらいいの?」彼は、優しく女神を抱きしめることしかできませんでした。

「どうか、エンデュミオーンを不老不死にしてください」。とうとう、セレーネーは大神ゼウスに願いでました。

ゼウスは、きっぱり言いきかせました。「神と人間の掟であるから、それはできぬ。しかし、彼を永遠に眠らせてしまえば、そのまま生きるであろう」

エンデュミオーン、永久の眠りに

セレーネーは、ゼウスの言葉をエンデュミオーンに伝えました。エンデュミオーンは、答えました。「語り合うことも、愛し合うこともできぬが、あなたがそれを望むなら、私は永遠の眠りにつこう」

「私は、永遠にあなたを見守っています、語り合うことも愛し合うこともできなくても、あなたが生きてさえいれば、それだけで幸せです」

最後に、エンデュミオーンは「私は、いつも良い夢を見ていることだろう」と言うと、永遠の眠りにつきました。女神セレーネーは、毎夜慈愛のこもった月の光とともに彼のそばに寄りそっているということです。

※月の女神ディアナは、セレーネーであり、アルテミスとも言われます。

ディアナとエンデュミオンフラゴナール〈ディアナとエンデュミオン〉