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大アイアスvsヘクトル

あらすじ

ギリシャ軍とトロイア軍は防壁の前で激しい戦いを続け、多くの武将が命を落としました。

ポセイドンの神意によって動きを封じられたアルカトオスは、イドメネウスに討たれます。

戦場の混乱の中、ヘクトルは味方の被害に気づかないまま戦いを続けていましたが、ポリュダマスの進言によって戦況を確認するため軍中を駆け巡りました。

そこでパリスと合流したヘクトルは再び戦場の中心へ向かいます。その前に立ちはだかったのはギリシャ軍の盾、大アイアスでした。

二人は激しい言葉を交わし、再び対峙します。そのとき大アイアスの頭上を鷲が飛び、吉兆としてギリシャ兵たちは歓声を上げました。

英雄たちが倒れる血戦、戦場に広がる死

ギリシャ軍とトロイア軍は防壁の前で激しい戦いを続け、多くの武将の血が大地に流れていました。

この日倒れたギリシャ側の武将には、軍神アレスの子アスカラポス、ヒュプセノル、デイピュロス、エウケノルなどがいました。一方、トロイア側でもオトリュオネウス、アシオス、アルカトオス、オイノマオス、アダマス、ペイサンドロス、ハルパリオンらが命を落としています。

なかでもアルカトオスの最期は奇妙なものでした。彼はポセイドンの神意によって目をくらまされ、手足も思うように動かせなくなっていました。その隙を突かれ、クレタ王イドメネウスの槍に貫かれて倒れたのです。

しかしこの激しい戦いの最中、ヘクトルは多くの将が倒れたり傷ついたりしていることに気づいていませんでした。もしこのまま状況を見誤れば、トロイア軍は逆に城壁へ押し戻されていたことでしょう。

プリュダマスの冷静な進言

そんなヘクトルに、賢将ポリュダマス(プリュダマス)が声をかけました。

「ヘクトルよ、一歩退いて戦況を見渡してはどうだ。敵味方の様子を確かめたうえで、撤退するか、このまま攻め続けるか決めるべきだ」

ヘクトルは答えました。
「わかった、すぐに確認してこよう。その間、主だった武将たちをここに引き留めておいてくれ」

普段のヘクトルであれば、ポリュダマスの提案など一蹴していたでしょう。しかしこのとき彼もまた、戦況に不安を感じていたのです。

ヘクトルは自軍の中を駆け巡り、戦場の様子を確かめました。

そしてその途中でパリスを見つけ、声をかけます。
「色狂いのパリスよ、デイポボスはどこにいる。豪勇ヘレノスはどうした。アシオスとその子アダマス、オトリュオネウスはどこだ」

パリスは答えました。
「兄者が探している戦友のうち幾人かはすでに討たれた。しかしデイポボスと豪勇ヘレノスの二人だけは、槍で腕を刺されて自軍へ退いた。さあ兄者、我らを率いてくれ」

こうしてヘクトルとパリスは、最も激しい戦闘の場所へ向かいました。

再び対峙、大アイアスとヘクトル

そこに立ちはだかったのは、ギリシャ軍最強の盾と呼ばれる大アイアスでした。

彼はヘクトルに向かって言い放ちます。
「ヘクトルよ、どうした。もっと近くに来てみるがよい。ギリシャ勢が一度退いたように見えたのは、ゼウスの振るう苛烈な鞭に打たれたからだ。

おぬしは船陣を粉砕するつもりであろうが、我らが必ず防いでみせる。それどころか、おぬしらの見事な町トロイアは、やがて我らの手によって滅ぼされるであろう」

そのとき、大アイアスの右手の上空を一羽の鷲が飛びました。これは吉兆のしるしでした。ギリシャ兵たちは歓声を上げ、勇気を奮い立たせます。

しかしヘクトルも負けてはいません。

「ほざくな、アイアス。今日こそギリシャの敗北の日だ。おぬしも船のそばで倒れ、その体は野犬と野鳥の餌となるだろう」

こうして戦場の中央で、大アイアスとヘクトルが再び相対したのです。