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ディオメデス、アフロディテを傷つけるフィッター〈ディオメデス、アフロディテを傷つける〉

あらすじ

女神アテナの加護を受けたギリシャの勇将ディオメデスは、鬼神のような勢いでトロイア軍を打ち破っていきます。

弓の名手パンダロスは彼を射抜いたと喜びますが、ディオメデスは倒れず反撃に出ます。アイネイアスとともに戦車で挑んだパンダロスは、槍の一撃で討ち取られてしまいました。

さらにディオメデスは、負傷したアイネイアスを救おうと現れた女神アフロディテにさえ槍を突き立てます。女神は傷を負って戦場を離れ、太陽神アポロンがアイネイアスを救い出しました。

やがて軍神アレスまでもが戦場に加わり、トロイア戦争は神々を巻き込んだ激しい戦いへと発展していくのです。

ディオメデス、鬼神のごとく奮戦

女神アテナは、テュデウスの子ディオメデスに大いなる武勇を授けました。兜と盾からは火炎が立ちのぼるかのようで、その姿は戦場でひときわ目立ちます。ディオメデスは獅子のように戦場を駆け回り、次々にトロイア軍の勇士たちを討ち倒しました。総大将アガメムノンをはじめ、ギリシャ軍の諸将も勢いを得て、トロイア軍を圧倒していきます。

その戦いぶりを見ていたのが、トロイア軍の弓の名手パンダロスでした。彼は弓を取り出し、ディオメデスへ矢を放ちます。矢は肩に突き刺さり、鮮血が流れ落ちました。「ギリシャ軍第一の勇者は傷ついたぞ!」と彼は叫びます。

しかしディオメデスは倒れません。友のステネロスに矢を抜かせると、天に向かって祈りました。「アイギスを持つゼウスの姫神アテナよ、あの矢を放った男を私の前に近づけてください」

アテナはその祈りを聞き入れ、彼の傷を癒やしました。そして言います。「テュデウスの子よ、父譲りの闘志をそなたに授けてやろう。また、神と人間を見分けられるよう、そなたの目から霧を払った。だから神が近づいても相手にしてはならぬ。ただし、あのアフロディテだけは別だ。その槍で突いてもよい」

こうしてディオメデスは再び戦場へ戻り、鬼神のごとく暴れ回りました。

弓の名手パンダロスの最期

その様子を見ていたトロイアの勇士アイネイアスは、パンダロスに声をかけました。「弓の名手パンダロスよ、あの暴れ回る勇者を射止めよ。ひょっとすると神かもしれぬが」

パンダロスは答えます。「アイネイアスよ、先ほど彼の肩を射抜いたのだ。冥府へ送ったと思ったが、どうやら神の助けがあったらしい。もはや弓では無理だ。槍で戦うしかない」

アイネイアスは言いました。「ならば、わしの戦車に乗れ。共にディオメデスに立ち向かおう」

二人は戦車に乗り、ディオメデスへ向かいます。その姿を見たディオメデスとステネロスは一瞬身構えました。「パンダロスと、女神アフロディテの子アイネイアスが来るぞ。いったん退こうか」

しかしディオメデスは答えました。「逃げはせぬ。女神アテナが許さぬ。それに二人を倒し、アイネイアスの名馬を奪えればこれほどの名誉はない。あの馬は、ゼウスがガニメデスを奪った償いとしてトロス王に与えた名馬の子なのだ」

やがて両者は槍を投げ合いました。パンダロスの槍は外れ、ディオメデスの槍はまっすぐ飛び、パンダロスの顔を貫きます。彼は戦車から落ち、そのまま息絶えました。

ディオメデス、女神アフロディテを傷つける

倒れたパンダロスを守るため、アイネイアスが前に立ちはだかります。ディオメデスは巨大な岩を持ち上げ、彼へ投げつけました。

岩は腰に命中し、アイネイアスは倒れます。死の闇が彼の目を覆おうとしたそのとき、母である女神アフロディテが現れ、息子を抱き上げて守りました。

しかしディオメデスは女神にもひるみません。槍でアフロディテの腕を突き刺しました。

女神は悲鳴を上げ、抱えていたアイネイアスを落としてしまいます。すると太陽神アポロンが現れ、アイネイアスを抱きとめました。

ディオメデスは叫びます。「女神よ、戦場から退かれるがよい。さもなければ、戦いと聞くだけで震え上がることになるぞ」

アフロディテは傷の痛みに耐えながら戦場を離れ、軍神アレスの戦車に乗ってオリュンポスへ帰っていきました。

アポロンの救出と神々の参戦

ディオメデスはなおもアイネイアスを討とうとしますが、アポロンが立ちはだかります。「ディオメデスよ、身の程を知れ。神々と人間は同じ種ではない」

そう言うとアポロンはアイネイアスを自らの神殿へ運びました。母レトと妹アルテミスが彼を介抱します。その間にアポロンはアイネイアスの姿を作り出し、戦場に戻しました。

やがてアポロンは軍神アレスに言いました。「アレスよ、ディオメデスを戦場から遠ざけてくれ。あの男は神々にさえ槍を向ける勢いだ」

アレスはトロイア軍に加わり、兵士たちを鼓舞します。そのそばには争いの女神エリスが付き従っていました。

その頃トロイア軍では、リュキアの王子サルペドンがヘクトルを激しく責めていました。「ヘクトルよ、このままギリシャ軍をのさばらせておくのか。われら助っ人は守るものもないのに戦っている。このままではトロイアは滅びてしまうぞ」

その言葉に奮い立ったヘクトルは兵士たちを鼓舞し、戦場はさらに激しい戦いへとなだれ込んでいきました。