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ディオメデスとアテナベルリン王宮橋〈ディオメデスとアテナ〉出典

あらすじ

アポロンに救われたアイネイアスが戦場へ戻ると、トロイア軍は勢いを取り戻します。

そこへ英雄ヘクトルと軍神アレスが加わり、トロイア軍は一気に攻勢を強めました。

ギリシャ軍は神が戦っているのを見て後退します。

一方オリュンポスでは、ヘラとアテナがこの状況を憂い、戦場へ降り立ちます。

アテナは英雄ディオメデスを励まし、共に軍神アレスへ立ち向かいました。女神に導かれたディオメデスの槍はアレスを傷つけ、軍神は悲鳴を上げて戦場から退きます。

こうして神々までも巻き込んだ戦いはさらに激しさを増していくのです。

ヘクトルと軍神アレス、戦場を席巻する最強コンビ

太陽神アポロンがアイネイアスを癒やして再び戦場に送り出すと、トロイア軍は彼の無事な姿に歓声を上げました。一方、ギリシャ軍では総大将アガメムノンと弟のメネラオスが戦場に立っています。

アガメムノンがアイネイアスの部下デイオコンを討ち取れば、アイネイアスもクレトンとオルティロコスを倒しました。

さらにアイネイアスはメネラオスを狙いますが、そばに老将ネストルの子アンティロコスが控えていたため、攻撃を断念します。

そこへトロイアの大英雄ヘクトルと軍神アレスが迫ってきました。アレスがヘクトルの周囲を行き来しているのを見たディオメデスは、ギリシャ軍に叫びます。

「ヘクトルはただの勇者ではない。必ず神が一柱ついている。今は軍神アレスだ。決してアレスに挑もうとしてはならぬ」

こうしてギリシャ軍は多くの武将を失いながらも、神を相手に戦うことを避け、じりじりと後退していきました。

その頃、別の戦場ではゼウスの子サルペドンと、ヘラクレスの子であるギリシャ軍のトレポレモスが激しく槍を投げ合っていました。

サルペドンの槍はトレポレモスの首を貫き、彼はその場で命を落とします。しかしサルペドンも腿に槍を受け、重傷を負いました。

その間にもオデュッセウスはサルペドンの家臣たちを次々と討ち取ります。しかしヘクトルとアレスが迫ってきたため、それ以上戦うことはできませんでした。

ヘラとアテナ、戦場へ降臨する

オリュンポスから戦況を見ていたゼウスの妃ヘラは、怒りを抑えきれずアテナに言いました。

「なんということだ、あの厄介なアレスが暴れ回っている。このままではギリシャ軍は敗れてしまう」

ヘラは馬を用意させ、娘のヘベが戦車を整えました。

黄金の兜と鎧を身に着けたアテナは恐るべき盾アイギスを掲げます。その縁には「潰走」「争い」「勇武」「追撃」が刻まれ、中央には恐ろしいゴルゴンの首が輝いていました。

ヘラはゼウスに言います。
「アレスがギリシャの武将を倒しているのを、ただ見ておられるのですか。もし私たちが戦場へ行き、あのアレスを追い払えば、あなたはお怒りになりますか」

ゼウスは答えました。「かまわぬ。アテナを向かわせよ。あの娘なら、いつもアレスをやり込めている」

こうしてヘラとアテナは戦車に乗り、オリュンポスから地上へ駆け下りました。二人はトロイア近くのシモエイス川とスカマンドロス川の間に降り立ちます。

ヘラは英雄の姿を借り、ギリシャ軍に叫びました。
「ギリシャの者ども、恥を知れ。アキレウスがいた頃、トロイア軍は我らの船まで攻めて来ることなどなかったではないか」

一方アテナは、傷を癒していたディオメデスのもとへ近づきました。
「テュデウスは勇敢な男だった。戦うなと言われても戦った。だが今のそなたはどうだ。怖気づいたのではないか」

人間ディオメデス、軍神アレスを打ち破る

軍神アレスと戦略の神アテナダヴィッド〈軍神アレスと戦略の神アテナ〉

アテナは戦車に乗り込み、ディオメデスの傍らに立つとアレスへ向かいました。女神自身は見えないように冥界の王ハデスの兜をかぶっています。

アレスはディオメデスを見つけると、すぐさま槍を投げつけました。しかしアテナがその穂先をそらします。続いてディオメデスが槍を投げると、アテナが導いたその槍はアレスの腹部を突き刺しました。

軍神は天地を震わせるような悲鳴を上げ、戦場から逃げ去ってオリュンポスへ戻ります。

アレスは父ゼウスの前で不満をぶつけました。
「父上よ、神々は皆あなたに従っていますが、心の底では不満を抱いています。

あの気まぐれなアテナのせいです。あなたは彼女に甘く、好き勝手にさせている。今回もディオメデスにアフロディテを傷つけさせ、私にまで槍を向けさせたのです」

ゼウスは冷たく言い放ちました。
「お前ほどわしに嫌われている神はいない。お前は戦いと争いばかりを好む。母ヘラの気性を受け継いだ厄介者だ。しかし、お前もわしの子だ。苦しんでいるのを放ってはおけぬ」

そう言うと神々の医師パイオンを呼び、アレスの傷を治療させました。神の傷はたちまち癒えます。その頃にはヘラとアテナも戦場を離れ、オリュンポスへ帰っていきました。