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パリス〈パリス〉

あらすじ

トロイアの城内では、知者アンテノルが戦争を終わらせるためヘレネと財宝をギリシャへ返すべきだと提言しました。

しかし戦争の原因であるパリスはそれを拒み、財宝だけを返すと主張します。

老王プリアモスは使者イダイオスを送り、この提案と戦死者の火葬のための休戦をギリシャ軍へ伝えさせました。

ギリシャ側ではディオメデスが財宝の返還を拒絶し、トロイアの滅びは避けられないと断言します。

ただし戦死者の火葬のための休戦には同意しました。両軍は戦場で亡くなった兵士を火葬し、その後ギリシャ軍は船を守るため防壁と堀を築きます。

しかし神ポセイドンは、人間が神々に相談せず巨大な防壁を築いたことに強い不満を抱いていました。

知将アンテノルの和平提案、しかしパリスは拒む

トロイアの城内では、賢者として知られるアンテノルが人々に向かって提言しました。

「トロイアの民よ、また援軍の方々よ。私は率直に申し上げたい。ここでヘレネとその財宝をギリシャへ返すべきではないか。我々はすでに誓約を破ってしまったのだから」

すると、この戦争の原因を作ったパリスが、すぐさま反対しました。

「アンテノルよ、あなたは何を言っているのだ。私はその提案を受け入れることはできない。妻ヘレネを返すつもりはない。ただし、ヘレネと共に持ち帰った財宝は返そう。さらに私自身の財宝も付け加えてもよい」

この場を収めたのは、老王プリアモスでした。

「皆の者、今夜は食事をとり、警戒を怠らず待機せよ。明日になれば使者イダイオスを送り、アガメムノンとメネラオスにパリスの言葉を伝えよう。また戦死者を火葬するため、休戦の意志があるかも尋ねさせる」

パリスの提案を一蹴するギリシャ軍

翌朝、使者イダイオスはギリシャ軍の陣営へ赴き、大声で伝えました。

「アトレウスの子アガメムノン殿、メネラオス殿、そして勇将たちよ。プリアモス王の名により、パリスの言葉を伝える。ギリシャから持ち帰った財宝は返そう。さらにパリス自身の財宝も加える。

しかし、トロイアの人々が勧めても、パリスはヘレネを返すことを拒んでいる。もう一つ、戦死した兵士を火葬するため、その間休戦しようではないか」

これに真っ先に答えたのは、勇将ディオメデスでした。
「パリスの財宝など必要ない。ヘレネも返さなくてよい。トロイアの滅びはすでに決まっているのだからな」

この言葉にギリシャ軍は大歓声を上げます。そしてアガメムノンも言いました。
「イダイオスよ、聞いたとおりだ。私も同じ考えだ。ただし戦死者の火葬については異論はない。休戦の誓いはゼウスを証人として行おう」

戦場の休戦、そしてギリシャ軍の防壁

イダイオスはトロイアへ戻り、ギリシャ軍の返答を伝えました。両軍は戦場でそれぞれの戦死者を探し出し、身元を確認して火葬に付します。

その後、ギリシャ軍は老将ネストルの提案に従い、船団を守るため防壁と深い堀を築きました。

その日、ギリシャ軍の陣営には大量のぶどう酒が届けられます。それは、かつてイアソンとの間に生まれた子を持つレムノスの女王ヒュプシピュレの子、エウネウスが送ったものでした。

神ポセイドンの怒り、忘れられた神々の功績

その頃、天界では海神ポセイドンが怒りを募らせていました。ギリシャ軍が巨大な防壁を築いたにもかかわらず、神々に一切相談しなかったからです。

かつてポセイドンとアポロンは、トロイア王ラオメドンのために城壁を築いたことがありました。

しかし約束された報酬は支払われませんでした。その後、英雄ヘラクレスも同じ王のために戦いましたが、やはり報酬は払われませんでした。

怒ったヘラクレスは、ついにトロイアの城壁を打ち砕いてしまったのです。この過去を思い出したポセイドンは、人間たちが勝手に築いたギリシャ軍の防壁に強い不満を抱いていました。