ローマ建国の祖アイネイアス［2］シケリア（シチリア）島へ

ペリエ〈ハルピュイアと戦うアイネイアスたち〉

アニオス王の贈り物

クレタ島への出発に際し、アニオス王はアンキセスに王笏、アスカニオスには外套と矢筒、アイネイアスにはブドウ酒を混ぜるための甕（かめ）を贈りました。この由緒ある甕には、七つの門があるテーバイ市の物語が浮き彫りで描かれています。

一方、アンキセスはアニオス王に香箱、お神酒皿、金と宝石でまばゆい冠を贈りました。

アイネイアスたちは、アポロンのお告げにより、トロイア人がクレタ島出身のテウクロスの血を引いていたことも知り、祖先の地クレタ島へ向かいます。

テウクロスはトロイア最初の王であり、トロイアのイデ山の名はクレタ島のイデ山に由来するとされています。

クレタ島は由緒ある土地ですが、気候が厳しく、長期滞在には適していません。アイネイアスたちは早々に次の目的地であるシケリア（シチリア）島へ向かいます。

アイネイアス、シケリア（シチリア）島へ

嵐のため、船隊はストロパデスの双子の島に逃れましたが、そこで怪鳥ハルピュイアに脅されます。

その後、オデュッセウスの地イタケや、賢者クラガレウスが変身した岩がある場所、名高いアポロンの神殿があるアムブラキアの町、そしてドドナの聖地、カオニアの入江を通り、コルキュアの島に到着します。

そこはトロイアの予言者ヘレノスが支配するプトロトスです。ヘレノスから将来の予言を聞き、夜になるとザンクレの浜に到着しました。

シケリア島には、南にパキュノス、西にリリュバイオン、北にペロロスという三つの岬があります。近くには、右手にスキュラ（岩に変わった賢者クラガレウス）、左手にカリュプディス（何でも飲み込む怪物）の難所があります。

この航海の途中で、アイネイアスの父であるアンキセスは病死します。

アイネイアス、アフリカへ。そして再びシケリア島へ

アイネイアスたちはイタリアの岸に近づいていましたが、嵐のためにアフリカ、リュビアの海岸まで押し流されてしまいます。この地の女王ディドは、アイネイアスたちを喜んで館に迎え入れました。

女王はアイネイアスに愛を捧げ、彼と契りを結びます。しかし、この情景を見たゼウスはヘルメスを送り、アイネイアスに対してトロイアの再興のためにイタリアへ向かうよう警告します。

こうして、アイネイアスたちはリュビアの新しい町カルタゴを離れ、再びシケリア島に戻ります。

しかし、女王ディドはアイネイアスとの別れを耐えられず、自ら供犠の薪の上で剣に身を投げたと伝えられています。

アイネイアスたちはシケリア島に到着し、亡き父アンキセスのために墓を築きました。

→ローマ建国の祖アイネイアス［3］クマエの巫女シビュラと冥界へ

アグエロ〈アイネイアス、カルタゴからの出発〉