1話5分で読めるギリシャ神話

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ピグマリオン

ピグマリオンとガラテア
ジャン=レオン・ジェローム〈ピグマリオンとガラテア〉メトロポリタン美術館

彫刻家のピグマリオンはあまりに純粋で、生身の女性の嫌なところばかりを見てきたため、女嫌いになってしまいました。そして「結婚はするまい」と決意していました。

しかし、若さの情熱と欲求から、大理石で美しい乙女の像ガラテアを彫ってしまいました。その像は今にも動き出すのではないかと思われるほどのでき栄えてす。また、その表情は清純で可愛らしく、まるで生きているようでした。

いつしか、ピグマリオンは頬をさすったり、抱きしめたりして、この像を愛していました。耳飾り、宝石の指輪、真珠の首飾りも、この像にしてあげました。着物をきせると、その柔らかなシルエットが、ますます人間のように見えてきます。ついに、ピグマリオンは、この像を綺麗にととのえたベッドに寝かせ、羽根枕にそっと頭をのせてあげました。そして今では、妻と呼ぶようになっていたのです。

キュプロス島でのアフロディーテの祭の日。
ピグマリオンは祭礼の務めを果たした後、祭壇の前に立ってささやきました。「神さま、お願いです。私にお授けください、あの像に似た乙女を」。さすがに、「あの像の乙女を」とは、言えませんでした。

祭りに臨席していたアフロディーテは、ピグマリオンの心の内を知り、祭壇の炎を三度空高く燃え上がらせました。女神の慈しみです。

ピグマリオンとガラテア
アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオゾン〈ピグマリオンとガラテア〉

ピグマリオンが家に帰ると、乙女の像に接吻しました。
「?!」
その唇は大理石の冷たさと違い、ほんのり暖かく柔らかい感触がしまいした。ピグマリオンはもう一度接吻してみました。確かに暖かく柔らかです。今度は乙女の身体の上に手をおいてみました。その感触は柔らかく、押してみるとその分だけへこみます。嬉しさと驚きとの半信半疑で、触り続けました。

もう、間違いありません、この像は生きているのです。あらめて顔をのぞくと、恥じらいで顔を赤くした人間の乙女がいました。ピグマリオンは、もう一度やさしく唇を押しつけました。彼は、アフロディーテに感謝しました。

アフロディーテは、ピグマリオンとガラテアの結婚を祝福しました。二人の子供はパポスと名付けられ、アフロディーテに捧げられたパポスという街は、この子の名に由来しています。パポスの子キニュラスが王となり、島を繁栄させ、立派なアフロディーテの神殿を築いたと言われています。

ピグマリオンとガラテア
ジャン=レオン・ジェローム〈ピグマリオンとガラテア〉習作

※バーナード・ショウの戯曲『ピグマリオン』のミュージカル化『マイ・フェアレディ』は、このギリシャ神話を元にしています。