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ピグマリオン〈ピュグマリオンとガラテア〉

ピュグマリオンは、純粋すぎて女嫌い!

彫刻家のピュグマリオンはあまりにも純粋で、生身の女性の嫌なところばかりが見えてしまいます。そのため、女嫌いになってしまったのです。そして「結婚はするまい」と決意していました。

しかし、若さの情熱と欲求から、大理石で美しい乙女の像ガラテアを彫ってしまいました。その像の表情は清純で愛らしく、まるで生きているようで、今にも動き出すのではないかと思われました。

ピュグマリオンの秘めた恋

いつしか、ピュグマリオンは乙女の像ガラテアの頬をさすったり、抱きしめたりして、この像を愛していました。

耳飾り、指輪、真珠の首飾りも、乙女の像ガラテアにしてあげました。着物をきせると、その柔らかなシルエットが、ますます人間のように見えてきます。

ついに、ピュグマリオンは、乙女の像ガラテアをきれいに整えたベッドに寝かせ、羽根枕にそっと頭をのせてあげました。そして今では、妻と呼ぶようになっていたのです。

アフロディテの祭日

ピュグマリオンは祭礼の務めを果たした後、祭壇の前に立ってささやきました。
「神さま、お願いです。私にお授けください、あの像に似た乙女を」

さすがに、「あの像の乙女を」とは言えませんでした。

祭りに出席していた女神アフロディテは、ピュグマリオンの心の内を知り、祭壇の炎を三度空高く燃え上がらせました。女神の慈しみです。

ピュグマリオンとガラテアトリオゾン〈ピュグマリオンとガラテア〉

ピグマリオン「?!」

ピュグマリオンは家に帰ると、いつものように乙女の像に接吻しました。

すると、今夜のガラテアの唇は大理石の冷たさと違い、ほんのり温かく柔らかい感触がしました。ピュグマリオンはもう一度接吻してみました。

確かに温かく柔らかです。今度は乙女の胸に手をおいてみました。その感触は柔らかく、押してみるとその分だけへこみます。嬉しさと驚きとの半信半疑で、ピュグマリオンは触り続けました。

もう、間違いありません。この像は生きているのです。

あらめてガラテアの顔をのぞくと、恥じらいで頬を赤くした人間の乙女です。ピュグマリオンは、もう一度やさしく唇を押しつけました。そして、彼は女神アフロディテに感謝しました。

ピュグマリオンとガラテアの結婚

アフロディテは、ピュグマリオンとガラテアの結婚を祝福しました。

ピュグマリオンとガラテアの子供はパポスと名付けられました。

アフロディテに捧げられたパポスという街は、この子の名に由来しています。パポスの子キニュラスが王となり、キュプロス島を繁栄させ、立派なアフロディテの神殿を築いたと言われています。

※このギリシャ神話から触発されたのが、バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』。この戯曲のミュージカル化が『マイ・フェアレディ』です。