アートバイブル
アートバイブル 1話5分で読める聖書
井の頭公園
井の頭公園

1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードを絵画から分かりやすくまとめています。ギリシャ神話は美術を鑑賞する時、必ずあなたの役に立ち想像力を羽ばたかせてくれます。

エウリディケーの死の災い

アリスタイオス、エウリディケーとオルフェウス
〈アリスタイオス、エウリディケーとオルフェウス〉

ミツバチの飼育者、アリスタイオス

アリスタイオスは、ミツバチの飼育を教えた人です。

ある日、彼の飼っていたミツバチが全滅してしまいました。彼は川岸に立つと、母親の水のニンフ、キューレーネーに助けを求めました。
「お母さん、私はこの世での誇りを奪われてしまいました。私のミツバチが全滅してしまったのです。心をこめて育てたミツバチの飼育の方法もその値打ちがなくなってしまいました。それに、お母さんもこの不幸から私を防いでくれませんでした」

河底の宮殿にいた母親は息子の声が聞こえてくると、付添いのニンフのひとりを川面に様子を見に行かせました。アリスタイオスを確認したニンフは、母親に知らせました。母は、彼を宮殿に連れてくるよう命じました。

河の水は二手に分かれ、渦巻く壁となって間に道をつくりました。アリスタイオスはその道を通り、母キューレーネーの宮殿にやってきました。ニンフたちは食卓を用意しました。まずは海神ポセイドーンヘの祈りをあげ、みんなは食事をとりはじめました。

予言者プローテウス

母キューレーネーは息子にいいました。
「プローテウスという年老いた予言者がいます。ポセイドーンのお気に入りで、アザラシの番をしています。この者ならば、ミツバチが全滅した理由も、その救済方法も教えてくれるはずです。わたしたち水のニンフも、彼が賢人であると尊敬しています。

しかし、どんなに頼んでも、彼は自分から進んで教えてくれません。腕ずくで教えを乞いなさい。逃げられないように彼を鎖でしばって、質問しなさい。逃げたい一心から、質問に答えてくれるはずです。

ただ、注意しなさい。彼は、なんにでも変身できます。火になったり、水になったり、竜になったり、獅子になったりもします。しかし、アリスタイオスよ、決して鎖を解いてはいけません。

今からプローテウスの住む洞窟へ連れていってあげます。昼になると仕事から戻って、彼は必ずそこで昼寝をします」

母キューレーネーは、アリスタイオスを予言者プローテウスの洞窟に連れて行きました。彼は近くの岩陰に隠れました。

昼になると、アザラシを引き連れたプローテウスが海から現れました。彼は洞窟に入り、昼寝するために横になりました。すかさず、アリスタイオスは鎖で彼を縛りあげました。すると、プローテウスは持ち前の術を使い、人となり、水となり、獣になったりしました。しかし、アリスタイオスは必死で鎖をにぎりしめていました。

プロテウスはあきらめて、アリスタイオスに聞きました。
「大胆な若者よ、わしに何のようだ?」
「あなたは予言者だから、私が来た理由も分かっているはずです。ミツバチがどうして全滅したか、また、その救済方法を教えてください」

オルフェウスとエウリュディケ
ミヘル・リチャード・ピュッツ〈オルフェウスとエウリュディケー〉

エウリディケーの死の災い

予言者は厳粛な面持ちで言いました。
「おまえが、あのオルフェウスの妻エウリディケーを追いかけた時、彼女は毒蛇を踏んで、足をかまれて死んでしまった。そのために、彼女の友達のニンフたちが、ミツバチに災いを送った。

災いを解くには、森の中に彼女らのために祭壇をつくり、牡牛と牝牛それぞれ四頭を生け贄にし、そのまま死骸を置いておきなさい。それから、オルフェウスとエウリディケーの供養もしなさい。九日たったら、牛の死骸に何がおこったか見に行きなさい」

アリスタイオスは、その言葉どおり実行しました。九日後、牛の死骸を調べてみると、一頭の死骸の中に多くのミツバチが巣を作って働いていました。

※ミツバチはこのように死骸の中や木の穴の中などに、巣を作る習性があります。