1話5分で読めるギリシャ神話

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ペルセポネーの略奪

ペルセポネーの略奪
Ulpiano Checa〈ペルセポネーの略奪〉

ギガントマキア(巨人戦争)の勝利の後、大神ゼウスがアイトナ山に閉じこめた巨人たちが騒ぐと大地がゆれます。今回の地震は大きかったので、冥界の王ハーデースは二輪車に乗り、地表との裂け目がないか視察していました。

女神アフロディーテの企み
山の上から見ていたアフロディーテは、息子エロースに命じました。
「ハーデースの胸に、一本射っておやり。知恵の女神アテーナや狩りの女神アルテミスは、恋にしか関心がないと私をバカにしているのです。豊穣の女神デーメーテールの娘ペルセポネーも二人をまねして...。あぁ、いまいましい!」ハーデースをペルセポネーに恋させようとしたのです。

ペルセポネーは友達とユリやスミレの花を摘んで、前掛けをいっぱいにしていました。ハーデースは、その姿を見つけるや、彼女を無理やりさらっていきました。ペルセポネーは、母や友人に助けを求めて叫びました。が、ハーデースが相手ではなす術もありません。摘んだ花々がこぼれてしまったのが、あどけない彼女の心を悲しくさせました。

ハーデースはキュアネー河まで来ると、三またの槍で堤を撃ち、大地に穴を開け、冥界へと入っていきました。

ペルセポネーの母デーメーテールの悲しみ
デーメーテールは、九日九晩探し回り、疲れて石の上に座り込んでいました。その姿は、やつれた老婆のようです。そこはアテナイの北西にある村。老人ケレオスと二人の娘がそばを通りかかりました。娘が声をかけました。
「お母さん、どうかしたの?」
デーメーテールには、その「お母さん」という声が懐かしく聞こえました。老人たちに娘ペルセポネーのことを話すと、老人が「貧しい家ですが、何かお役にたてれば」と、家に招いてくれました。家には、今にも死んでしまいそうな病気の息子がおりました。デーメーテールは、その晩その子の命を助け、女神であることを明かし、翌朝また娘を探しに出かけました。

アレトゥーサの告白
デーメーテールは、めぐりめぐってあのキュアネー河にやってきました。ペルセポネーの誘拐現場を見ていた河のニンフ、アレトゥーサはハーデースの仕返しが怖くて話せなかったのですが、せめてもと思い、ペルセポネーの腰帯を水の上に浮かべました。それを見たデーメーテールは、娘の死を確信して、大地に八つ当たりしました。

「恩知らずの大地よ、
今まで恵んできた牧草や穀物など、
もうその恵みを受けることはあるまい!」

日照りが何日も続き、家畜は死に、田をたがやす鋤(すき)も壊れ、種は芽も出さなくなりました。

アレトゥーサは、デーメーテールに言いました。
「大地をおとがめになってはなりません。お嬢さまはハーデースに冥界へと連れさられたのです。私は見ていました。お嬢さまは嘆き悲しんではいらっしゃましたが、そのお顔は冥界の女王にふさわしい表情にもお見受けしました。今までハーデースの仕返しが怖くて、話せなかったのです。お許しください」

ペルセポネーの帰還
フレデリック・レイトン〈ペルセポネーの帰還〉ベルリン絵画館

豊穣の春と冬、四季の誕生
これを聞いたデーメーテールはすぐさま二輪車に乗りました。ゼウスの元へ、娘を取り戻してほしいと嘆願にいったのです。ゼウスは承諾しましたが、1つの条件をつけました。運命の女神たちが決めたことで、変えることが決してできない条件です。
「ペルセポネーが冥界ではいかなる食べ物も口にしていなかったならば、その願いをかなえよう」

ゼウスはヘルメースを使者にすると、彼は春の女神も連れてペルセポネーを迎えに行きました。ハーデースは承諾しましたが、すでに狡猾にもザクロの汁をペルセポネーに飲ませていました。これでは、もはや地上に戻ることは許されません。

話し合いの結果、ペルセポネーは一年の半分(8ヶ月とも)は母デーメーテールと暮らし、半分(4ヶ月とも)は冥界の女王として地下に住むことになりました。こうして、大地は再びデーメーテールからの恵みを得ることができるようになりました。豊穣の春と冬、四季の誕生です。

この後、デーメーテールはあの老人ケレオスの家を訪れました。助けた息子トリプトレモスに鋤(すき)の使い方や種のまき方を教え、二輪車に乗せて穀物や農業の知識を人々に授け回りました。トリプトレモスは、エレウシースの地にデーメーテールの神殿を建立し、「エレウシースの秘儀」といわれる、ギリシャでも大きな女神の秘教を創始しました。

ペルセポネーの略奪
ベルニーニ〈ペルセポネーの帰還〉ボルゲーゼ美術館