1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

ペルセポネーの略奪

ベルニーニ作〈ペルセポネーの略奪〉。大理石なのに肌を押すと、凹むような質感。同じベルニーニ作〈アポローンとダプネー〉も見ておいてください。ベルニーニは、ミケランジェロの女性像を男性みたいだと嫌っていました。
ミケランジェロの女性は絵画にしろ、彫刻にしろ、あまりに解剖学的な筋肉を想像させるからです。しかし、ミケランジェロ20代の初期作品のイエスを抱くマリア像〈ピエタ〉は別で、とても繊細です。

ペルセポネーの略奪
ウルピアーノチェコ〈ペルセポネーの略奪〉

ギガントマキア(巨人戦争)の勝利の後、大神ゼウスがアイトナ山に閉じこめた巨人たちが騒ぐと大地がゆれます。今回の地震は特に大きかったので、冥界の王ハーデースは二輪車に乗り、地表との裂け目がないか視察して回っていました。

女神アフロディーテの企み

ハーデースを山の上から見ていたアフロディーテは、息子エロースに命じました。
「ハーデースの胸に、一本射っておやり。知恵の女神アテーナや狩りの女神アルテミスは、恋にしか関心がないと私をバカにしているのです。豊穣の女神デーメーテールの娘ペルセポネーも二人をまねして...。あぁ、いまいましい!」
ハーデースにペルセポネーを恋するように仕向けたのです。息子エロースは、黄金の矢をハーデースの胸に放ちました。

その時、ペルセポネーは友達とユリやスミレの花を摘んでいました。ハーデースは、その姿を見つけるや、彼女を無理やりさらっていきました。ペルセポネーは、母や友人に助けを求めて叫びました。が、冥界の王ハーデースが相手ではなす術もありません。飛び散った花々が、あどけない彼女の心を悲しくさせました。

ハーデースはキュアネー河まで来ると、三またの槍で堤を撃ちます。大地に裂け目ができると、冥界へと入っていきました。

ペルセポネーの母デーメーテールの悲しみ

ペルセポネーの母デーメーテールは、9日9晩さがし回り、疲れて石の上に座り込んでいました。その姿は、やつれた老婆のよう。そこはアテナイの北西にある村でした。老人ケレオスと二人の娘がそばを通りかかり、娘が声をかけました。
「おばさん、どうかしたの?」
デーメーテールは驚きました。女神には、その「おばさん」という声が「お母さん」と懐かしく聞こえたのでした。

老人たちに娘ペルセポネーのことを話すと、老人が「貧しい家ですが、何かお役にたてれば」と、家に招きます。家には、今にも死んでしまいそうな病気の息子がおりました。デーメーテールは、その晩その子の命を助け、女神であることを明かし、翌朝また娘を探しに出かけました。

アレトゥーサ、ペルセポネーの略奪目撃を告白

デーメーテールは、めぐりめぐってあのキュアネー河にやってきました。じつは、ペルセポネーの誘拐現場を見ていた河のニンフがいました。アレトゥーサです。ハーデースの仕返しが怖くて、今まで話せなかったのです。アレトゥーサは、ペルセポネーの腰帯を水の上にそっと浮かべました。それを見たデーメーテールは、娘の死を思い、大地に八つ当たりしました。

「恩知らずの大地よ、
今まで恵んできた牧草や穀物など、
もうその恵みを受けることはあるまい!」

デーメーテールは豊穣の女神と言われるように、穀物の収穫をつかさどる神なのです。
それ以後、日照りが何日も続き、家畜は死に、田をたがやす鋤(すき)も壊れ、種は芽も出さなくなりました。

アレトゥーサはいたたまれなくなり、デーメーテールに告白しました。
「豊穣の女神さま、大地をおとがめになってはなりません。お嬢さまはハーデースに冥界へと連れさられたのです。私は見ていました。お嬢さまは嘆き悲しんではいらっしゃましたが、そのお顔は冥界の女王にふさわしい表情にもお見受けしました。今までハーデースの仕返しが怖くて、話せなかったのです。お許しください」

ペルセポネーの帰還
フレデリック・レイトン〈ペルセポネーの帰還〉ベルリン絵画館

四季の誕生

これを聞いたデーメーテールはすぐさま二輪車に乗りました。ゼウスの元へ、娘を取り戻してほしいと嘆願にいったのです。ゼウスは承諾しましたが、1つの条件をつけました。運命の女神たちが決めたことで、変えることが決してできない条件です。
「ペルセポネーが冥界でどんな食べ物も口にしていなかったならば、その願いをかなえよう」

ゼウスはヘルメースを使者にすると、彼は春の女神も連れてペルセポネーを迎えに行きました。ハーデースは承諾しましたが、すでに狡猾にもザクロの汁をペルセポネーに飲ませていたのです。これでは、もはや地上に戻ることは許されません。デーメーテールとて、母として引き下がるわけにはいきません。

話し合いの結果、ペルセポネーは一年の半分の6ヶ月は母デーメーテールと暮らし、残り6ヶ月は冥界の女王として地下で暮らすことになりました。こうして、大地は再びデーメーテールからの恵みを得ることができるようになりました。豊穣の月(春・夏・秋)と冬、四季の誕生です。こう考えると、9ヶ月と3ヶ月に分けたほうがわかりやすいですね。

この後、デーメーテールはあの老人ケレオスの家を訪れました。助けた息子トリプトレモスに鋤(すき)の使い方や種のまき方を教え、二輪車に乗せて穀物や農業の知識を人々に授け回りました。
トリプトレモスは、エレウシースの地にデーメーテールの神殿を立て、「エレウシースの秘儀」といわれる、ギリシャでも大きな女神の秘教を創始したのです。

アポローンと月桂樹になったダプネー
ベルニーニの傑作「アポローンとダプネー」ぜひ、見ておいてください。

ペルセポネーの略奪
ベルニーニ〈ペルセポネーの略奪〉ボルゲーゼ美術館

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