1話5分で読めるギリシャ神話

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河神アケロオスとヘラクレスのディアネイラへの求婚。

ヘラクレスが妻ディアネイラをえた時のエピソード。ヘラクレスは神に対しても容赦のない人間であったことがわかります。ヘラクレスと比べると、河神アケロオスは人間に対して、といっても英雄に対してですが、真摯な神です。
また、河神アケロオスは、自分が人間に負けたこともそのまま話す正直な神です。正直な神は、ギリシャ神話には少ないので、珍しい神とも言えます。

テーセウスたちに語るアケロオス
〈テーセウス達に語るアケロオス〉

テーセウスの質問

カリュドーンの猪狩りに参加したテーセウス達。河の氾濫のため足止めされて、河神アケロオスの館に滞在することになりました。
アケロオスは英雄テーセウスが泊ることになって喜びました。アケロオスは河神ですが、このように偉大な人間には敬意を表する控えめな神であったのです。

そのアケロオスの角はもとは二本あったのですが、今では一本です。テーセウスは、その理由を尋ねました。

アケロオスは、話すのを少しためらいました。
「別に話して恥ずかしいことではないのですが...」と前置きをすると話し始めました。それは、一種の敗北の物語ですが、ヘラクレスが相手では恥ずべきことではありません。

ディアネイラに求婚したアケロオスとヘラクレス

オイネウス王の娘ディアネイラには多くの求婚者がいました。その中でもヘラクレスとアケロオスは別格です。そのため、他の求婚者たちは二人に気後れして、引き下がりました。

ヘラクレスはユピテル(ゼウス)の子であるということと『ヘラクレスの10の難行』をやり遂げたをあとでしたので、自信満々です。
しかし、アケロオスは神です。
「神が人間に負けることは、恥ずかしいことだ。オイネウス殿、私はあなたの国を蛇行して流れています。いわば、身内ですぞ」

アケオロスとデイアネイラ
〈アケオロスとデイアネイラ〉

アケロオスのヘラクレス批判

「ヘラクレス君、あなたはいくらユピテルの子だと言っても自慢できるものじゃない。そうだとすれば、ユピテルにはユノー(ヘーラー)というお妃がいらっしゃいます。だから、あなたは不義の子になるんですよ」

そういう河神アケロオスに対して、反論するヘラクレス。
「俺の得意は口で言うことより腕だ。戦って勝てばよいのだ。だから、口ではいくらでも負けてやる」
そう言うなり、ヘラクレスはアケロオスに突進しました。

アケロオスもヘラクレスを不義の子とののしった以上、逃げるわけにはいきません。青い衣服を脱ぐと、見がまえました。そして、つかみ合い、取っ組み合います。

アケロオスとヘラクレスの戦い

ヘラクレスといえども、アケロオスを簡単に倒すことはできません。何しろ、二人の体重の差がありすぎます。アケロオスは岩のようにデンと構えています。二人は、二頭の雄牛のように額と額をつき合わせて押し合います。

最初アケロオスがのしかかると、ヘラクレスといえども振り払うことは簡単ではありません。三度失敗し、四度目に振り払うことができました。しかし、ここからがヘラクレスのヘラクレスたるところ。アケロオスをひとつきで後ろ向きにすると、その背中に乗っかり抱きつきました。

アケロオスは歳をとっています。やっとの思いで、背中からヘラクレスを振り払ったことでもうヘトヘトになっていました。すかさず、ヘラクレスは雄牛の首をしめるように、首をしめました。アケロオスは耐えられず、ひさを落としてしまいました。ここで、アケオロスは最後の力を出します。変身の力です。

アケロオスの最後の手段、変身の力

まず、アケロオスは大蛇に変身しました。
しかし、ヘラクレスは幼児の時に二匹の蛇をわし掴みし殺した男です。また、レルネーの泉の水蛇・ヒュドラーを退治した男。ヒュドラーは首を一つ落とされると、二つの首が生えてくる水蛇です。変身した一匹の大蛇など、なんの苦にもなりません。アケロオスが変身した大蛇の喉元を力強く押すと、アケロオスは息ができません。やっとヘラクレスを振り払うと、今度は雄牛に変身しました。

しかし、ヘラクレスにとっては、これもまたなんのことはありません。雄牛以上の冥界のケルベロスさえ従えたヘラクレスです。雄牛ごとき、恐れるに足りません。またしても、アケロオスは角をヘラクレスに掴まれると、地面に押し付けられました。そして、1本の角をポキリと折られてしまったのです。

アケロオスは、一本の角を失ったことをテーセウス達にそう語ったのでした。その時、侍女たちが花や果物を豊かに盛ったその角を持って現れました。その角は、「豊穣の角」と呼ばれています。

次の朝、テーセウスたちはアケロオスの館を立ち去りました。

カリュドーンの猪退治:メレアグロス母子の悲劇

ヘラクレスの誕生

ヘラクレスの功業2:ヒュドラーの退治

へラクレスの功業11ヘスペリデスの林檎・12冥界のケルベロス

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