1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈アートバイブル〉も、絵画でわかりやすい聖書です。

ヘラクレスの誕生

天の川の起源
ルーベンス〈天の川の起源〉プラド美術館

ゼウスの深慮遠謀
大地女神ガイアが生み出したギガンテス(巨人族)は、決して神々には殺すことはできません。そこで、ゼウスは来るべきギガントマキア(巨人族との戦い)には人間の力が必要になるため、人間の乙女アルクメネーに目を付けました。

アルクメネーは貞節な乙女で、ゼウスといえども簡単に契りを結ぶことはできません。そこで、アルクメネーの婚約者アンピトリュオンが戦地に行った際に、ゼウスは婚約者と瓜二つになり、契りを結びました。この時、1夜を3倍の長さにして楽しんだのは、さすがゼウスです。

戦地から戻った本物のアンピトリュオンは、アルクメネーと契りを交わしました。彼は「なにか彼女の様子がおかしい?」と思い、予言者テイレシアスに相談しました。
すると、婚約者が身ごもっている、またそれが大神ゼウスの子と知り、神の怒りを恐れて、以後いっさいアルクメネーには触れようとしませんでした。

アルクメネーは、大神ゼウスの子ヘラクレスと人間アンピトリュオンの子イピクレスの双子を生みました。

天の川の起源
ゼウスはヘラクレスを不死にするため、無理やりヘーラーに授乳させました。寝ているヘーラーの乳を吸うヘラクレスの力があまりに強く、女神はびっくりして起きあがり、片方の母乳が上に飛びちり〈天の川〉になり、もう片方の母乳が地に落ちて〈白百合〉になったといわれています。白百合はヘーラーの象徴です。

毒蛇2匹をにぎりつぶすヘラクレス
ディーノメイ〈ヘラクレスの幼児期〉

ヘーラーの怒り
ヘラクレスとアルクメネーに対するヘーラーの怒りは凄まじく、子供達が入っている籠に毒蛇を2匹を放ちました。が、ヘラクレスは簡単に握りつぶしてしまいました。また、成人したヘラクレスを狂気の人に変えてしまったこともありました。彼はわが子を炎に投げ込んで殺してしまい、悲しんだ妻メガラーは自殺したということです。ヘラクレスは正気に戻ったとき、その罪を悔い、アポローンの神殿で神託を乞いました。

〈ミュケーナイ王エウリュステウスに仕え、10の功業を果たせ〉
ここに、ヘラクレスの数々の冒険が幕を開けることになったのです。

実はヘーラーの仕打ちは、ヘラクレスの誕生前にもありました。(このことから、ヘーラーは授乳の前から、ヘラクレスのことを知っていたようです)
アルクメネーが産気づいたとき、ゼウスはやがて生まれてくる子(ヘラクレス)をミュケーナイの王位につけようと思い、「今日生まれる最初のペルセウスの後裔が全アルゴスの支配者となる」と誓言しました。

ヘーラーはこれを怒り、出産を司る女神エイレイテュイアを遣わしてアルクメネーの出産を遅らせ、もう1人のペルセウスの子孫でまだ7か月だったエウリュステウスを先に産まれるように謀りました。ヘラクレスは、理不尽でもこの王命に従うしかなかったのです。