1話5分で読めるギリシャ神話

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魔女キルケ 前編

キルケ
ジョン・W・ウォーターハウス〈キルケ〉

(オデュッセイア 第十歌)

魔女キルケのアイアイエの島

キュクロプスの難を逃れたオデュッセウス一行であったが、部下の失態により神々の寵愛を受けているアイオロスの好意を台無しにしたり、テレピュロスの町では、キュクロプスのごとき巨人ライストリュゴネス族に襲われたりしました。それはまさに悪夢、焼き鳥のように部下を串刺されて食べられたのです。結果、残ったのはオデュッセウスの船一隻のみ44名になってしまいました。

テレピュロスの町を離れ、やっとの思いでたどりついたのが魔女キルケの住むアイアイエの島。キルケはイアソンの「アルゴー船の遠征」に出てくる魔女メーデイアの従妹です。

疲れから2日間はただただ横になっていましたが、3日目の朝、オデュッセウスはこの島にはどんな人間、怪物が住んでいるのか一人探索に出かけました。見晴らしの良い岩だらけの高見に出ると、密生した木立の中に、ひとすじの煙が立っているのが見えました。

オデュッセウスは浜辺に戻ると、残った44名を半分に分け、自分とエウリュロコスを隊長にしました。どちらの隊が煙を確認にいくか、くじで決め、エウリュロコス隊22名が出発することになりました。

キルケ
ライト・バーカー〈キルケ〉

豚にされる部下たち

一行が木立の中のキルケの館までくると、館の前には狼や獅子などの凶悪な動物が徘徊していました。一行は驚きましたが、動物は近くに来るとじゃれたりしてとても大人しいのです。それもそのはず、この動物たちはキルケに姿を変えられた人間で、心は人間のままなのです。

館の中からは、機を織る美しい歌声がきこえてきます。一行は扉を叩いて、呼びかけました。キルケは扉を開けると、一行を中に招きました。みんなキルケの後についていきましたが、エウリュロコスだけは何か変な予感がして中に入らず、そっと中をうかがっていました。

キルケは一行にソファーと椅子をすすめると、チーズと小麦粉と蜂蜜をプラムモスの葡萄酒にまぜ、故郷を忘れる毒も入れました。飲み物を飲んだ一行をキルケが杖で叩くと、豚に変身してしまいました。

「さあ、豚小屋に行って、仲間と一緒に寝ておいで」

エウリュロコスは急いでオデュッセウスの元に帰り、仲間におこった悲惨な運命を報告しました。残っていた部下たちは悲しみましたが、オデュッセウスはすぐに助けに行こうとしました。エウリュロコスは反対しましたが、彼は「これは、頭のつとめである」と出かけて行きました。

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