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1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードを絵画から分かりやすくまとめています。ギリシャ神話は美術を鑑賞する時、必ずあなたの役に立ち想像力を羽ばたかせてくれます。

オデュッセウスとナウシカア 後編

オデュッセウスとナウシカア
ミッチェル・デサブレオ〈オデュッセウスとナウシカア〉

オデュッセイア 第6歌
ナウシカアだけは逃げなかったのです。それも女神アテーナが、王女に勇気を吹き込んでいたからです。

助けを求めるオデュッセウス

一人逃げず、すっくと立っている女神にも見えたナウシカアに戸惑いつつも、オデュッセウスは穏やかにナウシカアに語りかけました。

「あなたは人間でいらっしゃるのでしょうか。それとも神様のひとりでしょうか。ゼウスの娘アルテミスとも、見まちがうほどの美しさ。私は、かつてこのように美しい方を見たことがありません。父君、母君、ご兄弟姉妹は、世の常の人の三倍も幸せな方々です。あなたの夫になる方は、本当に幸せ者です。

ところで、私は海で遭難してから20日目、やっと昨夜この岸辺にたどり着きました。なので、あなた様がこの土地で初めてお会いする方なのです。どのような神が、この島に打ち上げたのかもわかりません。また、私の苦難がここで終わるとは思ってもいません。しかし、どうか私を憐れみください。身につける衣類と食べ物をお与えください」

ナウシカアは、オデュッセウスに答えました。
「他国の人よ、お見受けするところ、素性の卑しい者とも愚か者とも思いません。オリュンポスの主ゼウスは、気ままに人々に幸せを分かち与えます。あなた様もそれに耐えなければなりません。

さて、わたしらの国に来られたからには、気の毒な人が救いを求められたからには、当然着るものはもちろん、何不自由はさせません。この国はパイエケス人の国で、王はアルキノオスといい、わたしはその娘です。
(女中たちに)さぁ、お前たち。異国の人に着物とオリーブ油を用意し、河で体を洗わせてあげなさい」

オデュッセウス、パイエケス国へ

オデュッセウスは、海の潮の汚れを落とし、油を塗り着物をまといました。女神アテーナは、背丈も大きく、肩幅も広く、髪も麗しい巻き毛を垂らして、立派に見えるようにしました。その美しく魅力に富んだ姿は輝くばかりです。

その姿を眺めたナウシカアは、うっとりして言います。
「みんな、この方がこのパイエケス国に来たのは、オリュンポスの神々の同意があってのことに違いありません。さっきまではみすぼらしく見えたのに、今は神々のようです。この方がわたしの国に住み、私の夫と呼ばれたら、どんなにかよいでしょう。なんとか、ここに残ってくれたらいいのに。さあ、お前たち、食べ物と飲み物をおあげ」

何日も食べ物を口にしていなかったオデュッセウスは、貪るように食い、飲みました。食べ終えるのを見とどけると、ナウシカアは馬車に乗り言いました。
「さあ異国の人よ、父の屋敷に連れて行って差しあげます。馬車の後についてきてください。しかし、私の言うとおりにしてください。町の城壁の近くにポプラの林があります。そこに留まり、中へは入らず、町の誰かが通りましたら、その者にお訪ねください。『アルキノオス王のお屋敷に参りたいのですが、お教えください』と。

私と一緒に行くと、心ないうわさ話、陰口をきく下賎な者がいるかもしれません。
曰く『あの他国の者は何者であろうか。王女の夫になるのであろうか。この国にも身分の高い貴公子はたくさんいるのに、この国の人々を蔑んでいるのであろうか?』と」

このようなナウシカアの思いやりから、オデュッセウスは無事アルキノオス王に面会でき、二日後故郷イタケに帰ることができたのです。『オデュッセイア』には、以後のナウシカアについては語られていませんが、夫にと思っていたので、オデュッセウスの帰国には、さぞ悲しい思いをしたことでしょう。

ナウシカア
フレデリック・レイトン〈ナウシカア〉