1話5分で読めるギリシャ神話

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【第7歌】オデュッセウス、アウキノウス王と対面

妃アレテの膝に手をかけた途端、オデュッセウスの姿を隠していた神秘の霧は消えます。普通、オデュッセウスの姿が現れた途端、妃アレテ、アルキノオス王や周囲の人々はかなり驚くはずです。何者ともわからぬ男が、妃の膝元に急に現れるわけですから。
しかし、驚いたという描写は、『オデュッセイア』には一行もありません。これも女神アテネが、王や妃の心に驚きや恐怖心をなくしていたとしか考えられません。女神は屋敷に案内した後、帰って言ったのですが……。

アルキノオスの館
マルク・シャガール〈アルキノオスの館〉ちょっと、誰が誰だかわかりにくいですが...

(オデュッセイア 第7歌)

女神アテネ、オデュッセウスを王の屋敷へ案内する。

果樹園でナウシカアと別れたオデュッセウスの前に、アテネは水瓶も持った若い娘に変身して現れました。

オデュッセウスは、娘に尋ねました。
「娘さん、この国を治めておられるアルキノオス王の屋敷まで案内してくださらぬか」

「それでは、おじさん、アルキノオス王のお屋敷まで案内してさしあげましょう。でも、私の後を黙って付いてきてください。町の人たちは、他国の人をあまりよく思わないのです」
アテネはそう言うと、町の人からオデュッセウスが見えぬよう、神秘の霧で隠してやりました。

アルキノオス王の屋敷の前に着くと、
「真っ先に、家の中にいる国のお偉方や家人を通り過ぎ、お妃アレテ様の前におゆきなさい。
先代ナウシトオス王は、ポセイドーンとペリボイアのお子様です。ナウシトオス王の二人のお子様が、レクセノルとアルキノオス王です。兄のレクセノルは一人娘アレテ様を残して早死してしまわれました。
残されたアレテ様を叔父であるアルキノオス様が娶ったのです。アレテ様は、王や国中の人々に大変尊敬されているお方なのです。ですから、お妃様のの気をしっかりつかんでくださいね」
アテネはこう説明すると、去って行きました。

アルキノオス王の屋敷

屋敷の広間に入ると、神秘の霧で隠されたオデュッセウスは周りの人々を通り越して、アルキノオス王と妃アレテの近くまで来ました。かがんで、アレテの膝に手をかけると神秘の霧は消え、オデュッセウスの姿が現れました。驚いた妃が何か言う前に、すばやく願い出ました。
「神のごときレクセノルのご息女アレテ様、あなたに助けを求めにやってきました。昨夜、私は漂流してこの国につきました。こんな私ですが、できる限り早く帰国できるようおたすけください。また、ここにおられる方々には末長く神々のご加護を受けられますように」
そう言うと、オデュッセウスは炉のわきの灰の上に座りました。

オデュッセウスを見ていた最長老のエケネオスが、王に進言しました。
「王よ、客人を炉の灰に座らせておくのは、礼に背きましょう。夕食を用意させ、もてなすようお取り計らいください」

すると、アルキノオス王はオデュッセウスの手を取り、立ち上がらせました。隣に座っていた息子を立ち上がらせ、その席にオデュッセウスを座らせました。
「みな、聞いてほしい。食事を終えたら、家に帰って休んでいただきたい。明日、今より多くの町の人々を呼んで、客人をもてなそう。そのうえで、いかに遠方であろうと客人を国に帰す手立てを考えようではないか」
アルキノオス王の言葉に、屋敷にいた有力者はみな帰得ることにしました。

アルキノオス王、オデュッセウスの帰国を明日と決める。

広間には、オデュッセウス、アルキノオス王、妃アレテが残っていました。アレテはオデュッセウスの着物が娘ナウシカアが今朝川に持参したものだと気づいて、話しかけました。
「客人よ、そなたはいかなるお人で、どこから来たかのか。また、漂流してこの国についたと言われたが、その着物がどうされたのですか」

オデュッセウスは、仙女カリュプソの島に7年間いたこと、8年目にして許され出発したことを語りました。しかし、ポセイドーンが起こした嵐にあい、この国にたどり着いたことを話しました。最後に、着ている着物は、食物、葡萄酒と一緒にナウシカアお嬢様に河辺で恵んでいただいたことも話しました。

そう話すオデュッセウスの話し方や態度に感じ入ったアルキノオス王は、提言しました。
「客人よ、そなたのような立派な男には、その気があればこの国に留まっていただきたい。そして、娘ナウシカアを妻にもらっていただけたらどんなによかろう。屋敷も財産も与えよう。しかし、そなたがそれを望まぬ限り、引き留めはすまい。その場合は、そなたを国へ届けることにしよう。日は、明日と決めておこう」

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