1話5分で読めるギリシャ神話

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【第2歌】前編:イタケ人の集会にてテレマコスの訴え

ペネロペイアは昼間に機織りをして、夜には織った布をほどきます。そうして、いつまでも機織りを終わらせません。その間、求婚者たちには結婚の返事を待ってもらう。
そのペネロペイアの企みがばれてしまう、という有名なエピソードが語られます。

織った布をほどくペネロペイア
〈織った布をほどくペネロペイア〉

(オデュッセイア 第2歌 前編)

イタケ人の集会

朝になると、テレマコスは愛犬二匹を連れてイタケ人の集会に出ました。
「何事か起こったのか!他国が攻め込んできた報告か、いったい誰が招集したのか」
20年前にオデュッセウスが開いた集会以来であったため、町の長老の一人が発言しました。

テレマコスはすっくと立ち、話し始めました。
「イタケの人々よ、私がこの集会を開きました。父オデュッセウスが死んだものとされ、我が家には嫌がる母ペネロペイアの求婚者たちが集まっています。求婚するだけなら良いのですが、我が家の財産であるヤギやヒツジを焼いての飲食をしております。
このようなことは、もう止めてもらいたい。各自の家で順番に宴会を開いてもらいたい。私は断固とした処置を取るつもりだ。また、私に快速艇1隻と水夫20人を与えてもらいたい。父の消息を尋ねに、ピュロスとスパルタに行くつもりだ」

ペネロペイアの偽りの機織り

求婚者たちの中心人物の一人アンティノオスが反論。
「テレマコスよ、なんたることを言うのか。こうなったのは、そなたの母ペネロペイアの責任。一人一人に手紙を送って、気を持たせたからだ。しかも、心は裏腹なことを考えていたのだ。
大きな機織り機を入れて、こう話していたのだ。
『求婚なさる殿方たちよ、オデュッセウス亡き今結婚を急いているのでしょうが、この着物を織り終えるまで待ってもらいたい。これは舅(しゅうと)ラエルテスが死んだ時のための、弔いの衣装なのです』とな」

ペネロペイアと求婚者たち
〈ペネロペイアと求婚者たち〉

「ところが、そなたの母ペネロペイアは昼の間は織っていたのだが、夜になると織った分だけほどいては時間を稼いでいたのだ。それが3年間も続いた。事情を知っている侍女が、我らに教えてくれたのだ。我らはその現場を押さえた。

だから、我らの返事はこうだ。テレマコスよ、そなたの母を実家に帰し、父親ともども良いと思う男に嫁ぐようすすめるのだ。彼女が今の気持ちを変えないがぎり、そなたの家の財産はいつまでも食いつぶされることになろう」

ゼウス、二羽の鷲を飛ばす。

テレマコスはアンティノオスに反論します。
「母を追い出すことなどできない。また、そうするようすすめもしない。それが気に食わぬのなら、我が家の財産を食いつぶすがよかろう。しかし、父なるゼウスは報復を成就させてくださるであろう。その時は、そなたたちには死んでもらうことになる」

その時、オリュンポスのゼウスは、二羽の鷲を飛ばしました。二羽の鷲は集会の場の上空を輪を描いて飛んでいましたが、急降下すると、互いを引っ掻きあいしてから右方向に飛び去りました。集会にいた人々は、これが何を意味するのか考えあぐねました。

鳥占いをする老雄ハリテルセス

その時、飛翔する鳥占いに長けた老雄ハリテルセスが説明しました。
「求婚者たちは心して聞いてくれ。容易ならぬ災厄が迫っている。オデュッセウスはすでに生きて帰ってきてて、そなたらを誅殺せんとしておられる。そうなれば、我らにも災いが降りかかるかもしれぬ。

だから、イタケの人々よ、求婚者たちを抑える算段を考えようではないか。いや、求婚者たちは己のために自制してもらいたい。
私がオデュッセウスがトロイアに出征した時に予言したことは、ことごとく現実になった。また、すべての僚友を失って、20年目に誰にも知られることなく帰国するであろうとも予言した」

決意を示すテレマコス

求婚者たちのもう一人の中心人物エウリュマコスが反論。
「爺さんは引っ込んでいろ。飛んでいる鳥がすべて予言を担っているわけではない。オデュッセウスはすでに異郷で果てたのだ。テレマコスの怒りに油を注ぐようなことは止めろ。

テレマコスよ、母に実家に帰るようすすめろ。誰かにそそのかされたのか、口だけは達者になったな。だが、そなたなど恐れるに足らずだ。ペネロペイアが待たせている間、そなたの財産が食いつぶされるであろう。我らは、お主の母以外の女など今は追いかけたりはしないからな」

テレマコスは、エウリュマコスに言い返しました。
「エウリュマコスよ、もはやそなたたちに頼んだり、論議するつもりもない。この件は神々に委ねよう。
ところで、快速艇1隻と水夫20人をもらいたい。ピュロスとスパルタに行こうと思う。父の消息をたずね、死がはっきりしたら帰って葬儀を執り行い、それから母を嫁がせようと思う」

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