1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈アートバイブル〉も、絵画でわかりやすい聖書です。

ローマ建国の祖アイネイアース1

アンキセスを運ぶアイネイアース
シャルルAヴァン=ルー〈アンキセスを運ぶアイネイアース〉ルーヴル美術館

トロイア最後の希望、アイネイアース
アイネイアースは、女神アフロディーテとトロイアの武将アンキセスの息子です。
トロイア陥落時に、彼は年老いた父親アンキセスを背負い、息子アスカニオスの手を引いて逃げました。わずかですが、財宝も持ち出せました。また、アイネイアースをしたう数少ない避難民も一緒でした。

アイネイアースたちは、アンタンドロス港から海に出ました。対岸はトロイアの王子ポリュドロスの血に汚れたトラキアの地です。まず、立ちよったのが、アポローンの聖地デロス島です。この島で、女神レートーはアポローンとアルテミスの兄妹を生みました。島の王アニオスはアポローンの神官でアンキセスの古い友でしたので、アイネイアースたちを受け入れました。

宴会になると、アンキセスはお礼を言ったあと、アニオス王に訊ねました。
「アニオス王よ、私の思い違いかもしれないが、確か、あなたには1人のご子息と4人の娘さんがいたはずですが、姿が見えないのはどういうことですか?」

デロス島の王アニオスの5人の子供
アニオス王は悲しげな表情をして、アンキセスに答えました。
「アンキセス殿、思い違いではありません。私には、確かにかつて5人の子供がおりました。アポローンから予言の力を与えられた1人息子のアンドロスは、自分と同じ名前がついているアンドロス島で、私に代わり支配しております。

娘たちは、神ディオニュソスから別の力、信じられない恩恵を受けたのです。それは、触れるものはみな、穀物、ブドウ酒、オリーブ油に変わるのです。これは、たいへんなお金になります。

その恩恵を知ると、ギリシャの総大将アガメムノン王は武力に訴え、いやがる娘たちを奪い去りました。兵士を養わせるためです。彼女たちは逃げ、兄のアンドロス島に渡りました。が、アガメムノン王の軍隊がやってきて、アンドロスを脅しました。息子にはどうすることもできません。息子はトロイアの英雄ヘクトールでも、あなたの息子アイネイアース殿の武勇もありません。

アフロディーテとアンキセス
ウィリアム・ブレイク・リッチモンド〈アフロディーテとアンキセス〉

女神アフロディーテの鳥、白いハト
娘たちはまさに捕われる時、天に両手を差し出し叫びました。
『父なるディオニュソスよ、どうか私たちを助けたまえ!』
すると、アンキセス殿、娘たちはあなたの恋人、女神アフロディーテの鳥、白いハトに変わってしまったのです」

「そんな悲しい運命が、あなたの子供たちに起きたですか」
アンキセスは逃げてきた運命も忘れ、友アニオス王への同情を禁じえなかった。

次の朝、アニオス王はアポローンの神託所におもむいた。トロイアの友のため、神のお告げをうかがったのです。

「いにしえの母なる地、トロイア一族発祥の地(クレータ島)をめざすように」

ローマ建国の祖 アイネイアース2