1話5分で読めるギリシャ神話

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アルゴー船の遠征 2

ヒュラース
ハーバート・ジェイムズ・ドレオパー〈ヒュラースとニンフ〉

悔いを残した勝利

アルゴー船は海賊に苦しめられている港に上陸しました。街の人々に大変喜ばれ、水も与えられ、またごちそうにもなり、その日の夕方出発しました。夜になって嵐に遭い、方向も分からず流されて、とある港にたどり着きました。

すると、突然人々が襲ってきました。アルゴー船の乗組員(アルゴナウタイ)は勇者達ですから、簡単に彼らをやっつけてしまいました。翌朝、襲ってきた人々を確認すると、なんということでしょうか!昨日ごちそうをしてくれた街の人々だったのです。彼らは、アルゴー船を海賊と間違えていたのす。

悔いを残したまま、アルゴー船は出発しました。

ヘラクレスの小性ヒュラース

水が足りなくなったのでとある岸辺に休航。ヘラクレスの小性ヒュラースたちが水を汲みにいきました。彼らは森の奥の沼にたどり着くと、水を汲み始めました。沼の底からヒュラースを見ていた水の精は、その美しさに思わず、彼を水の中に引き込みました。

「ヘラクレ〜ス、助けてくれ〜」
その声を聞いたヘラクレスは急いで森の中に入りましたが、ヒュラースはどこにもいません。彼があちこち探しているうちに、アルゴー船は出発してしまいました。ですので、この遠征でのヘラクレスの活躍する物語はありません。

ピーネウスとハルピュイア
ウィリー・ポガニー〈ピーネウスとハルピュイア〉

予言者ピーネウスと怪鳥ハルピュイア

次に立ち寄った港には、偉大な予言者ピーネウスが住んでいました。ピーネウスはアポローン神から予言の能力を授かり、その能力で多くのことを予言していました。その予言があまりに多かったため、ゼウスからある罰を受けていました。

彼が食事をするたびに、女の頭と胸をもつ怪鳥ハルピュイアが現れ、その足と汚物で食卓を汚します。また、その臭さといったら耐えられません。何年もたち、ピーネウスは骨と皮のガリガリ人間になっていました。

そこで、予言者ピーネウスにこの先の苦難を教えてもらうかわりに、イアソーンは怪鳥ハルピュイアを退治すことを約束しました。さっそく食卓が整えられ、ごちそうが並べられました。ピーネウスが食べようとすると、いつものようにハルピュイアが現れ、テーブルを汚物と足で汚し、耐えられぬ臭いを残して飛び去っていきました。

ハルピュイア
ヤン・エラスムス・クェリヌス〈ハルピュイアの追跡〉

翼を持った北風の双子の息子がこれを追いかけ、北風の寒さの中で1羽1羽ハルピュイアを凍えさせ、海に落として退治しました。こうして、ピーネウスは何年ぶりかの食事にありつけたのです。あまりに急いで食べたので、のどに詰まらせ、せき込み、涙が出てきました。アルゴナウタイはそれを見て大笑いしました。

打ち合わせの岩

約束通り、ピーネウスはこの先の苦難を語りました。
「この先に開いたり閉じたりする〈打ち合わせの岩〉があります。間を通る船は、その二つの岩に挟まれてつぶされてしまいます。1羽のハトを飛ばして、そのタイミングを見て間を通り抜けなさい」

次の日、1羽のハトをカゴにいれ、アルゴー船は出発。天にも届かんとするノコギリのような切りったった〈打ち合わせの岩〉に近づくと、ハトを飛ばしました。岩が狭まり、閉じ、また開きます。ハトはうまく間をすり抜けて、向こう側に飛んでいきました。イアソーンはそれを参考に、二つの岩が狭まり開き始めた瞬間、大急ぎでアルゴー船を走らせます。かろうじて、船尾をかすった程度で通過させることができました。

目指す黒海の東海岸、コルキスの国はもう目前です。

アルゴー船の遠征3▶