1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈アートバイブル〉も、絵画でわかりやすい聖書です。

テーセウス物語 後編

パイドラー
アレクサンドル・カバネル〈パイドラー〉モンペリエ、ファーブル美術館

盟友ペイトリオスとの出会い
父アイゲウス王の自殺の後、テーセウスはアテナイの王に即位しました。彼はアマゾンに遠征し、王女アンティオペー(一説にはヒッポリュテー)をさらい、妻としていました。

ある日、ラピテース族のペイトリオスはアテナイの牛の群れを奪おうと、マラトンの丘に侵入してきました。すぐに防衛に駆けつけたテーセウスを見た瞬間、ペイトリオスはその姿に敬服してしまいました。
「私が悪かった。どんな刑罰をも受けよう」
「では、君の友情をくれ!」
テーセウスもペイトリオスの容姿にひかれ、以後二人は盟友となりました。

アンティオペーの死後、テーセウスはミーノース王の娘アドリアネーの妹パイドラーを妻としました。この頃には、クレータとの関係も良くなっていました。

前妻の息子ヒッポリュトスと新妻パイドラーの企て
美徳をかねそなえた前妻の息子ヒッポリュトス。新妻パイドラーはこの義理の息子に好意を抱くようになりました。が、ヒッポリュトスは継母の恋をはねつけました。彼女の恋は憎悪に変わり、「ヒッポリュトスに辱めを受けました」と遺書を残し自殺。怒ったテーセウスは、息子に災いがくだるよう、海神ポセイドーンに祈りました。

ヒッポリュトスの死
ローレンス・アルマ=タデマ〈ヒッポリュトスの死〉

ヒッポリュトスが二輪車に乗り、海辺を走っていた時です。海から怪物が姿を現すと、馬は暴れ、二輪車を粉々にし、彼は死にました。が、彼が崇拝していた女神アルテミスの助けもあって、医師アスクレピオスが彼を生き返らします。その後、彼はイタリアでエーゲリアというニンフに保護されました。

美少女ヘレネーをさらい、冥界の女王ペルセポネーへの無謀な思い
新妻パイドラーが死んだ頃、ペイトリオスも妻ヒッポダメイアを亡くしていました。二人は大神ゼウスの娘を妻にしようと相談。テーセウスは幼いヘレネー(トロイア戦争の原因)を選び、ペイトリオスはなんと冥界の女王ペルセポネーを選びました。

二人はスパルタにいたヘレネーをさらい、アテナイまで連れて帰ることに成功。いずれスパルタがヘレネー捜索に動きだすので、戦争を避けたいテーセウスは、ヘレネーを母アイトラーにゆだね、アテナイから離れた場所に隠しました。

ヘレネとサイコロで遊ぶテセウスとペイリトオス
Odorcio Politi〈ヘレネとサイコロで遊ぶテセウスとペイリトオス〉

テーセウスとペイトリオス、冥界で捕われる
その後、テーセウスとペイトリオスは冥界へいき、なんとも脳天気なことに、ペルセポネーの夫で冥界の王ハーデースにその目的を話してしまいました。内心呆れはてたハーデースは、二人に椅子に座るようすすめました。この椅子は「忘却の椅子」と呼ばれ、座ると身動きできなくなり、記憶をも失ってしまいます。二人は、そのまま冥界に捕われれの身となったのです。

やがて、ヘラクレスが「ケルベロスの試練」で冥界にやってきた時、テーセウスだけは助けられましたが、ペイトリオスは助けだされず、その運命のままにゆだねられました。
〈ヘラクレスの功業12 冥界の番犬ケルベロス〉

テーセウス達が冥界に捕われている間に、ヘレネーはスパルタ人に発見され連れ戻されていました。彼はアテナイの王位も奪われて、スキューロス島の王リュコメーデースのもとに身を寄せました。王は彼に王位を奪われるのを恐れ、彼を裏切り殺しました。

後年、アテナイの将軍キモーンはテーセウスの遺骸を発見すると、アテナイに持って帰りました。遺骸は、テーセウスのために建てられたテーセリオンという社に納められることになりました。