〈ギガントマキア〉
ギガンテスは、神々だけでは滅ぼせない
ギガース(巨人)の複数形が、ギガンテス。ヘシオドスによれば、天空神ウラノスがクロノスによって生殖器を切断された時に流れでた血が大地ガイアに滴って、そこから生れたとされています。
ホメロスによると、その王はエウリュメドーンといい、後代ではギガンテスは頭と顎から濃い毛を生やし、腰から下は竜の姿であったとも言われています。
一説では彼らはプレグライに、一説ではパレーネー(トラーキアのカルキディケー半島のーつ)に生れました。プレグライはパレーネーと同一で、その古名との説もあります。
〈ギガンテスは神々だけでは滅ぼせない〉という予言がありました。それを知っていたゼウスは、アルクメネに半神半人のヘラクレスを生ませていたのです。ぜウス、さすがに天界の王で深慮遠謀です。
大地ガイアもこれを知って、ギガンテスが人間によって殺されないようにするために薬草を探しました。そこでゼウスは太陽、月、曙に天に登ることを禁じて、暗闇の中で先に薬草を探しだし刈り取りました。
レーニ〈ギガントマキア〉
ギガントマキア勃発
ギガンテスは山脈や島々などを引き裂きながら進軍し、巨岩や山を激しく投げ飛ばしつつオリュンポス山を攻撃しはじめました。オリュンポスの神々も応戦します。ティタノマキア以来の宇宙の存亡をかけた戦いが始まったのです。
ギガンテスのアルキュオネウスは自らの生誕の地であるパレーネーに触れているかぎり無敵でけっして倒されることがありません。そこで、ゼウスは彼をパレーネーから外に引きずり出して殺しました。
ポルピュリオーンはヘラクレスと女神ヘラにむかってきましたが、ゼウスがヘラに対する欲情を彼に起させ、彼が女神の衣を引き裂いて手込めにしようとした時、ゼウスは雷霆(らいてい)を投げ、ヘラクレスが矢で射殺しました。
エピアルテースは左眼をアポロンに、右眼をヘラクレスに射られて死にます。エウリュトスはディオニュソスがテュルソス杖で、クリュティオスはヘカテが炬火(たいまつ)で、ミマースはへーパイストスが熔鉱を投げつけて殺しました。
アテナはエンケラドスの上にエトナ火山を投げつけて下敷きにし、パラースの皮をはいで戦闘の際に身につけました。
ポセイドンは、ニーシュロス島をポリュボーテースの上に投げて下敷きにしました。へルメースはハデスのかくれ帽をかぶって、ヒッポリュトスを殺し、アルテミスはグラティオーンを殺します。
運命の女神モイライさえも参戦し、アグリオスとトオーン(またはトアース)を銅の梶棒で殺しました。
その他のギガンテスは、ゼウスが雷霆(らいてい)で撃ち、その後ヘラクレスが瀕死の状態の彼らを矢でとどめをさしました。こうして、ゼウスとオリュンポスの神々は、ティタノマキア以来の戦いに勝利したのです。
この戦いの後、大地女神ガイアはギリシャ神話史上最強の怪物テュポンを産み落とし、ゼウスに最後の戦いを挑みます。
ギガンテスと他の巨人たちの違い
ギガンテスは巨人族ですが、他の巨人(タイタン神族、ヘカトンケイル、キュクロプス、アローアダイ)とは違います。100の手を持つヘカトンケイルとキュクロプスは、ティタノマキア(タイタン神族との戦い)の時にオリュンポスの神々を助けました。