そんな〜軽率すぎる神話 ベスト3
(更新日:2021.10.26)
①ビーナスことアフロディーテと軍神アレスとの浮気!
夫が出かけたからといって、すぐ間男とベットインしてはいけません。
②テーセウスとペイリトオス
冥界の王ハーデースに向かって「あなたの奥さんを私の妻にください」
③あなたは〈不死〉になりたいですか?
しかし〈もう1つ〉のことをけっして忘れてはいけません。
アフロディーテ(ビーナス)の浮気
美の象徴アフロディーテの夫はびっこで不細工、しかし、高い技術を持った神ヘーパイストス。そして、間男が軍神アレスです。
太陽神ヘリオスは、朝早く4頭の馬にひかせた馬車で天へ昇っていきます。だから、朝方までアフロディーテとアレスが一緒の浮気現場をたびたび見ていました。そんな太陽神はヘーパイストスが気の毒になって、アフロディーテの浮気を伝えました。
当然、ヘーパイストスは憤慨しました。しかし、妻に浮気を問いただすことはしませんでした。なぜか? 技術者としてワナを、ベッドの上に見えない鎖を張りめぐらしたのです。
ある朝、
ヘーパイストス「じゃ、仕事に行ってくるよ」
アフロディーテ「行ってらっしゃい、あなた」
夫を送り出したアフロディーテ。すぐに、軍神アレスがやってきました。
そして、ベッドインしたまさにその時、ヘーパイストスのワナが作動。透明の鎖が抱き合っている二人をとらえます。このワナは、ヘーパイストス以外は誰にも外せません。だから、浮気者二人は、夜になるまでそのままでした。
帰ってきたヘーパイストスは、大声で神々を召集し、浮気の証人になってもらいました。集まった神々の一人アポローンがヘルメースにささやきます。
「アフロディーテを抱けるなら、どんな恥ずかしい姿をさらしてもかまわないと思わないか!」
はてはて、あられまない姿をみられたアフロディーテとアレスの運命は?
【アフロディーテ(ビーナス)の浮気】を読む
若きテーセウスとペイリトオス
テーセウスは、ギリシャ神話の大英雄です。しかし、親友のペイリトオスとの行動では、若気の至りとしか言いようがない事件を起こしました。
二人とも妻と死別した時、新しい奥さんは誰がいいか、話し合っているときのことです。
ペイリトオス「どうだ、ゼウスの娘なんか」
テーセウス「うん、ゼウスの娘いいね」
候補に上がったのが、まだ幼かったアルゴスのヘレネー。後にトロイア戦争の原因となった乙女。小さい時から可愛く美人と評判でした。だから、ヘレネーを選ぶことは普通に考えられます。
ですが、この先がいけません。なんと、もう一人に冥界の王ハーデースの現在の奥さんペルセポネーを選んだのです。
テーセウスがヘレネー、ペイリトオスがペルセポネーに決まりました。
さっそく二人はいとも簡単にヘレネーを誘拐して、テーセウスの母アイトラーにあずけました。その後、二人はふつう人間には行けない冥界に簡単に行きました。さすが、英雄テーセウスです。
そして、冥界の王ハーデースの前に詣でると
ペイリトオス
「あの~、王様の奥さんペルセポネー様をわたしの妻にください」
テーセウス
「こいつはいい奴なんで、なんとか望みをかなえてください」
自分の妻をもらいに来たと言われたハーデース。どう対処したか? 想像してみてください。
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〈ヘレネとサイコロで遊ぶテセウスとペイリトオス〉
曙の女神エーオースの愛したティトノス
あなたは〈不死〉になりたいですか?
なれるとしても、〈もう1つ〉のことをけっして忘れないでください。「恋は盲目」と言いますが、この曙の女神は「恋はうっかり」でしょうか。
曙の女神エーオースは、朝早くアポローンの前で、天への道を登っていきます。この女神が愛したのが、美青年ティトノス。あのトロイアのプリアモス王の兄弟です。
トロイア王家は、美少年を多く輩出する家系。
ゼウスに連れ去られた初代の王トロースの子ガニュメデス。「神にも見紛う」と『イリアス』では表現されているパリス。パリスの兄ヘクトールも、絵画ではイケメン。そして、このティトノスも美青年です。
「ティトノスと永遠に一緒にいたい!」曙の女神エーオースはゼウスにお願いして、ティトノスを〈不死〉にしてもらいました。
しかし、時がたち......。後悔したエーオースはティトノスに見切りをつけ、彼をセミに変えてしまいました。
一体、何があったのでしょうか?
【曙の女神エーオース】を読む
ルイ・ジャン・フランソワ・ラルグネ〈アウロラ(エーオース)の出発〉