ヴェラスコ〈ヘーラーとイーリス〉
次の絵画も同じですが、中央のヘーラーのそばには、彼女の鳥クジャクが描かれています。
虹の女神イーリスは、ゼウスの妃ヘーラーの忠実な使い
イーリスは、虹の女神。イーリスは、ギリシア語で虹を意味します。また、イーリスの聖花はアヤメ(アイリス)ですが、この名もイーリスに由来します。ヘルメースがゼウスの使いであるように、イーリスはヘーラーの忠実な使いとされます。
ヘシオドス『神統記』によれば、イーリスはタウマスとオケアノスの娘エレクトラの娘で、ハルピュイアの姉です。イーリスは翼を持った美しい女性で描かれることが多く、醜悪なハルピュイアが妹だとは想像もしていませんでした。
ハルピュイアは、アエッロ(旋風)とオキュペテ(速飛び)、敏捷な翼で、風の息吹や鳥たちにも遅れをとらぬほど、空を飛びます。
ルモワーヌ〈花の神フローラ、ヘーラー、イーリス〉
ウアス〈イーリスに起されるモルペウス〉
女神ヘーラーは、すでに死んだケーユクスに対するアルキュオネーの祈りに絶えられなくなってきました。そこで、虹の使者イーリスを呼んで、命じました。
「イーリスよ、眠りの神ヒュプノスの館に行って、ケーユクスの死んだことをアルキュオネーの夢枕に立って伝えてもらうように」。モルペウスはヒュプノスの息子です。
ミシェル・コルネイユの息子〈イーリスとゼウス〉
イーリスはゼウスの命で、ステュクス河の水を汲みに行く
神々に嘘があると、ゼウスはイーリスにステュクス河の水を汲んでくるよう命令します。この水を飲んでおきながら、偽りの誓いをすると、一年間、呼吸を止めて横たわり、アンブロシアとネクタルの飲食に近づくこともできません。
息もせず声もなく臥して、悪い昏睡に包まれます。また、九年間他の神々から離されて、会議にも宴席にも出られず、再び参加できるのは十年経ってからです。
なお、「ステュクスに対して誓う」と述べることは、神々でも覆すことはできません。アポローンは息子パエトンにステュクスに対して願いを叶えると誓いを立てました。そのため、無理と分かっていても、太陽の馬車に乗せざるをえなかったのです。
〈ステュクス河の水を運ぶイーリス〉