※本ページにはプロモーションが含まれています。

メーデイア、キルケ、パシパエー〈メデイア、キルケ、パシパエ〉

魔女と忌まわしき血の家系!

メーデイア、キルケ、パシパエーの家系家系図を見てください。ギリシャ神話に登場する超有名な魔女2人(メデイアとキルケ)がいます。ですから、パイドラも魔女の血を引いています。

魔女キルケ

『オデュッセイア』に登場するキルケは、オデュッセウスの部下を豚に変えてしまいます。また、スキュラに恋するグラウコスへの嫉妬心から、彼女を有名な怪物「スキュラ」にしてしまいます。

魔女キルケに豚にされるオデュッセウスの部下[第10歌 前編]

グラウコスとスキュラの悲劇。魔女キルケの暗躍あり!

魔女メーデイア

『アルゴー船の大冒険』のイアソンに一目惚れし、彼を父コルキス王の罠から助けます。

その後、イアソンと一緒にアルゴー船で父の船団から逃げる時には、弟を殺しバラバラにして海に投げ入れます。船団の乗員がバラバラになった弟の死体を回収することがわかっていたからです。その隙に逃げたのです。

また、イアソンに新しい恋人ができると、イアソンとの子供2人を殺し、アテナイのアイゲウス王のところに逃げていきます。王の子テセウスがアテナイに帰ってくると、彼を殺そうとしましたが失敗します。最後には故郷コルキスへ帰っていきました。

メデイア[1]『アルゴー船の大冒険』のイアソンの裏切り[ギリシャ悲劇]

怪物ミノタウロスの母パシパエ

パシパエも魔女で、夫は有名なクレタ島の王ミノスです。王は女好きで浮気する時、パシパエは夫に魔法をかけます。王が女を抱こうとすると、体から獣(あるいは蛇やムカデ、サソリ)を放って相手の女を殺してしまうのです。

パシパエが有名なのは、あのラビリンスに幽閉された怪物ミノタウロスの母だからです。ミノタウロス誕生の裏には理不尽ですが、夫ミノス王の海神ポセイドンヘの裏切りがありました。

ミノス王がクレタ島の王である証のために、ポセイドンから美しい牡牛を授けてもらいます。王になったら、その牡牛をポセイドンに捧げる約束だったのですが、王は約束を破り、普通の牡牛を捧げたのです。

ポセイドンは怒り、その怒りは王ではなく妃パシパエに向いたのです。彼女は牡牛に欲情するようになりました。その結果、ダイダロスに作らせた牡牛のハリボテに入り、牡牛に犯されました。生まれたのがミノタウロスです。

パシパエが牡牛に恋した理由。他にも2つの説

  1. 女神アフロディテとアレスの浮気をパシパエの父である太陽神ヘリオスが女神の夫ヘパイストスに告げたからです。これまた、女神の怒りが太陽神ではなく娘に向けられた理不尽な理由です。
    アフロディテ(ビーナス)の浮気。アポロン、アレスをうらやましがる!
  2. パシパエ自身が女神アフロディテの崇拝をしなかったため、女神が牡牛に欲情させたというものです。

テセウスに恋したアリアドネ

恋愛の女神アフロディテの恋の力には、人間も、神々さえも無力です。そんな牡牛に恋してしまう母パシパエの娘二人も、すぐ恋のとりこになります。

テセウスに恋した姉アリアドネとテセウスの前妻の息子ヒッポリュトスに恋した妹パイドラ。

ミノタウロスを退治して、アリアドネの糸によってラビリンスを脱出したテセウスは彼女を伴って、クレタ島を脱出します。途中、ナクソス島で休憩していると、ミノス王の追っ手が近づいてきました。テセウスたちは急いでナクソス島を出発しました。

しかし、アリアドネは昼寝をしていて出発に気づかず、取り残されます。

取り残されたアリアドネは、ナクソス島で酒神ディオニュソスの妃になります。恋に狂ったとしても、神の妻になったのですから、妹のパイドラと比べれば、まだ幸せと言えるでしょう。

テセウスの前妻の息子ヒッポリュトスに恋したパイドラ

テセウスの後妻になったパイドラは2人の子供を産んだ後、あろうことか前妻の息子ヒッポリュトスに恋をします。

しかし、このヒッポリュトスは男でありながら、処女神アルテミスの狩りにお伴するほどでの堅物で、恋に全く関心がないのです。ヒッポリュトスは、継母パイドラの恋をはねつけました。

その結果、パイドラは夫テセウスにばれることを恐れ、「ヒッポリュトスに襲われた」と嘘の手紙を残し、首をつって死んでしまいます。

テセウスはその手紙を真実と思い、息子を呪い、海神ポセイドンに息子の死を願います。ヒッポリュトスは死んでしまいます。

なぜ、前妻の息子に恋をするようになったのか?
パイドラが女神アフロディテをないがしろにしたからだといいます。ギリシャ悲劇『ヒッポリュトス』(エウリピデス作)に詳しく書かれています。

このように、この家系は「魔女と忌まわしき血の家系!」と言えるのではないでしょうか。

牡牛に恋したパシパエー
ミノタウロスの誕生、悲しき母パシパエ

テセウスに見捨てられたアリアドネ
→ テセウス神話[2]アリアドネの糸により、ラビリンスを脱出!

前妻の息子に恋したパイドラ
→ テセウス神話[3]息子ヒッポリュトスの死、友ペイリトオスと冥界へ

ヒッポリュトス[1]愛の女神アフロディテの嫉妬心と怒り![ギリシャ悲劇]