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サルマキスとヘルマプロディートスホッサールト〈サルマキスとヘルマプロディートス〉

ヘルメースのアプロディーテへの思い

ヘルメースにとっては、アプロディーテ(ビーナス)の浮気が発覚した時、アポローンから言われたことがず〜っと頭から離れません。

その時、アポローンはヘルメースにこうささやいたのです。
「アフロディーテを抱けるなら、どんな恥ずかしい姿を晒してもかまわないと思わないか」

ヘルメースは答えます。
「それができたらどんなによかろう。この三倍の鎖でぐるぐる巻きにされて、神々に見られても構わぬ。アフロディーテと寝られたならな」

アプロディーテに惚れたヘルメースは、美の女神をなんとかものにしようと思っていました。父ゼウスの血のなせる技でしょうか!

しかし、まったく女神に相手にされません。そこでヘルメースは父ゼウスに頼んで鷲を借りてくると、その鷲にアプロディーテの黄金のサンダルを盗ませたのです。

ヘルメースは、このサンダルを返すことを条件にアプロディーテに関係を迫ります。
「なあ、一夜でいいからつきあってくれ、サンダルは返すから」

女神は優越感をもって答えます。
「そんなに、わたしと寝たい。そういえば、あの時わたしの体をじろじろ見てたわね。アレースをうらやむような目もして。わたしには分かっていたのよ」

恋に関しては、女神アプロディーテに勝てるものはいません。まして、ヘルメースはまだ若き神です。

ヘルマプロディートスの悲劇

サルマキスとヘルマプロディートススプランガー〈サルマキスとヘルマプロディートス〉

ヘルメースと女神アプロディーテの間に生まれたのが、美少年ヘルマプロディートス。少年はプリュギア(トルコ)の聖山であるイーデー山のニンフによって育てられた。

15歳の少年は退屈のあまり、リュキアやカーリアなどを旅してまわりました。見るもの見るものが、彼にとっては新鮮でワクワクしました。特に河や泉を見るのが大好きです。

そんな美少年ヘルマプロディートスに、運命ともいえる悲劇が起こります。

カーリアの森の泉で、ニンフのサルマキスと出会ってしまったのです。普通なら森のニンフは狩猟の女神アルテミスに仕えるのですが、彼女はそうすることはしません。

その時、このあまりに美しい少年に出会い、彼に恋し誘惑したのです。
「お姉さんと少し話していかない。わたしはそこ泉の精でサルマキス。泉の水は清くてとても肌に優しいの。きっとあなたも気に入ると思うわ」

「いえ、旅の途中で、先を急ぎますから」
赤くなった少年はドギマギし、早くここを離れようとしました。

「そうか、お姉さんがいろいろ教えてあげようと思ったんだけどね」
このままでは美少年が去ってしまうと判断したサルマキスは、その場を離れそっと木陰に隠れます。

両性具有者ヘルマプロディートスの誕生

ヘルマプロディートスは彼女がいなくなったのを確かめると、泉に興味を持っていたので、服を脱いで泉へ入ります。

「やったわ!今だ!」
木陰に隠れていたサルマキスは駆け出し、泉に飛び込み、少年を抱きしめたのです。

「何をするんだ、離せ、誰か助けて〜」
ヘルマプロディートスは必死で逃れようとしましたが、相手は女ですが年上で力も強く、抱きしめられるままでした。

このままでは少年に逃げられてしまうと思ったサルマキスは、神々に訴えます。
「神様、どうかわたしたちを離さないでください。このままず〜っと一緒のままでいさせてください」

すると、彼女の願いは聞き届けられ、ふたりは一体化しはじめます。女性の象徴であるサルマキスの乳房はそのまま残り,美少年ヘルマプロディートスの象徴もそのまま残り、男と女の美をそなえた、なんとも艶かしい一人の両性具有者となったのです。

「この泉に入ったものは、みな同じような体になってしまえ!」
悲しみにとらわれた美少年ヘルマプロディートスは泉に呪いをかけ、両親のヘルメースとアプロディーテは息子の願いを聞きいれ、魔性の力をこの泉に与えたといいます。