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アガメムノンの黄金のマスク〈アガメムノンの黄金のマスク〉

あらすじ

ギリシャ軍の総大将アガメムノンは戦場を巡り、各隊列の将たちを叱咤激励して兵士たちの士気を高めました。

イドメネウスや両アイアス、老将ネストルの隊列では戦いの準備が整えられ、アテナイ勢の隊列ではオデュッセウスが王の叱責に奮起します。

さらに若き英雄ディオメデスの隊列でも戦意が固められました。こうしてギリシャ軍は再び戦闘態勢を整えます。

一方、神々も戦場に介入し、アテナはギリシャ軍を、軍神アレスはトロイア軍を鼓舞しました。

争いの女神エリスが敵意を煽る中、ついに両軍は激突し、戦場はたちまち血に染まる激戦となったのです。

アガメムノン、軍勢を巡り兵士たちを鼓舞する

ギリシャ軍の総大将アガメムノンは、自軍の隊列を回りながら兵士たちを鼓舞しました。

「ギリシャ勢よ、戦う気概を決して忘れるな。口ばかり達者で腰抜けのギリシャ勢よ、お前たちは恥を知らぬのか。やがてゼウスは誓約を破ったトロイアに鉄槌を下されるであろう。聖都イリオスは滅びるのだ」

やがて彼はクレタ軍を率いるイドメネウスの隊列にやって来て言いました。
「イドメネウスよ、そなたほど勇敢な者はいないと常々感服している。さあ、その名に恥じぬ戦いを見せてくれ」

イドメネウスは答えます。「トロイア勢が誓約を破って攻めかかってきたのです。彼らを待つのは死だけでしょう」

続いてアガメムノンは、巨躯の英雄たちが率いる両アイアスの隊列へ向かいました。

そこには大アイアスと小アイアスが兵を鼓舞していました。「両アイアスよ、そなたたちは自ら兵を鼓舞している。わしが命じることなど何もない」

老将ネストルの戦略――若者たちへの教え

次にアガメムノンが向かったのは、老将ネストルの隊列でした。

ネストルは兵士たちにこう命じていました。「誰も自分の武勇や馬術を過信して先走ってはならぬ。また勝手に退くことも許されぬ。隊列を守り、互いに支え合って戦うのだ」

アガメムノンは老将の姿を見て言いました。「ご老体、あなたは老いに苦しむ身である。くれぐれも無理はなさらぬよう」

ネストルは静かに答えました。「わしは戦車隊を率いて作戦を立て、兵を統率するつもりだ」

アガメムノンは満足そうにうなずき、次の隊列へ向かいます。

オデュッセウス激怒――王の叱責に応える

次にアガメムノンが向かったのは、アテナイ勢の隊列でした。そこにはアテナイの王メネステウスと、知略の英雄オデュッセウスがいました。

アガメムノンは厳しく言いました。「メネステウスよ、オデュッセウスよ。なぜ他の部隊の様子をうかがって尻込みしている。第一線に立ち、激戦に身を投じるのがそなたたちの役目ではないか」

この言葉にオデュッセウスは怒ります。「アガメムノン王よ、なんたる暴言。よろしい、トロイア軍の第一線の強者と戦う姿をお見せしよう」

するとアガメムノンは笑みを浮かべました。「機略縦横のオデュッセウスよ、そなたに命じるつもりはない。どうやらわしの言い方が悪かったようだ」

若き英雄ディオメデスの沈黙

次にアガメムノンが訪れたのは、勇将ディオメデスと、その戦友ステネロスの隊列でした。

アガメムノンは言います。「ディオメデスよ、馬を馴らす剛勇の者よ。なぜ戦いの様子をうかがっている。そなたの父テュデウスは常に先頭に立って戦ったではないか」

ディオメデスは黙っていましたが、ステネロスが怒って言いました。「王よ、本当のことを言えるのに、偽りを言うのはやめていただきたい」

するとディオメデスが静かに言いました。「戦友よ、王に逆らうな。アガメムノンは兵の戦意を鼓舞しているのだ。われらはただ戦いに専念すればよい」

こうしてアガメムノンは、全軍を叱咤しながら隊列を巡りました。

神々も戦場へ――再び始まる大戦

そのころ神々も戦場に介入していました。ギリシャ軍を鼓舞しているのは、眼光鋭い女神アテナです。一方トロイア軍には軍神アレスが味方していました。さらに争いの女神エリスが両軍の間を駆け回り、敵意を煽り立てます。

ついに戦いの火蓋が切られました。青銅の鎧をまとった兵士たちは盾を打ち鳴らし、槍と剣がぶつかり合います。勝ち名乗りと叫び声が戦場に響き渡りました。

トロイア軍が押され始めると、城壁の上から太陽神アポロンが怒りの声を上げます。「奮い立て、トロイアの兵よ。敵もまた同じ人間だ。しかも、あのアキレウスは戦場にいない。陣営で怒りをかみしめているのだ。今こそ戦う時ではないか」

こうして両軍の戦いは激しさを増し、多くの将兵が倒れ、やがて大地は血で染まりました。