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目覚めるゼウスの怒り〈ゼウス〉

あらすじ

ヘラの策略で眠らされていたゼウスは目を覚まし、戦場を見て愕然とします。トロイア軍が押され、海神ポセイドンがギリシャ軍を助けていたからです。

ゼウスはヘラを激しく叱責しますが、彼女は関与を否定しました。やがてゼウスは戦争の未来を語ります。

パトロクロスが出陣しサルペドンを討ち、やがてヘクトルに倒されること、そして怒ったアキレウスがヘクトルを討つ運命を明かしました。

その後、ゼウスはイリスとアポロンを呼び、ポセイドンを戦場から退かせ、ヘクトルに再び力を与えるよう命じます。

ポセイドンは不満を抱きつつ海へ戻り、神々の思惑のもと戦局は再び大きく動き始めました。

ゼウス目覚め、戦場の異変に激怒

ヘラのかたわらで目を覚ましたゼウスは、下界の戦場を見て思わず息をのみました。

トロイア軍がギリシャ軍に追い立てられていたのです。その中に海神ポセイドンが立ち、ギリシャ軍を鼓舞していることにも気づきました。さらにヘクトルは仲間に囲まれ、血を吐いて瀕死の状態にあります。

ゼウスは怒りに満ちた声で言いました。
「ヘラよ、そなたは手に負えぬ女だな。ヘクトルが負傷し、トロイア軍が押されているのは、そなたの企みであろう。かつてそなたがヘラクレスを嵐で漂流させたとき、わしがそなたをオリュンポスから宙づりにしたのを忘れたのか」

ヘラは震えながら答えました。
「ステュクスの水に誓って申しますが、ポセイドンが暗躍しているのは私のせいではありません。彼が勝手にギリシャ勢を哀れんで動いているのです」

ゼウスの予言、戦争の未来

ゼウスはしばらく黙っていましたが、やがて静かに命じました。

「ヘラよ、虹の女神イリスとアポロンを呼んできてくれ。イリスはポセイドンに退くよう命じる使者となる。アポロンはヘクトルに新たな力を吹き込み、ギリシャ勢をアキレウスの船近くまで追い立てさせるのだ。

そのときアキレウスは友パトロクロスを戦場へ送り出す。パトロクロスは我が子サルペドンを含む多くの武将を討ち取るが、やがてヘクトルに討たれる。怒りに燃えたアキレウスは、ついにヘクトルを討つであろう。

そして最後には、アテナの計略によってトロイアの城は陥落する」

ゼウスは続けました。
「だから今は誰もギリシャ勢に加勢してはならぬ。すべてはこの運命のとおりに進むのだ」

ヘラ、オリュンポスで神々を揺さぶる

ヘラは急いでオリュンポスへ戻りました。神々が集う食卓の場で、彼女は軍神アレスの怒りをあおりました。

「ゼウスに何を言っても無駄よ。自分が神々の中で一番だと思っているのだから。皆、耐えるしかないわ。とりわけ息子アスカラポスを戦いで失ったあなたには、さぞ辛いことでしょう」

この言葉にアレスは怒りを爆発させました。
「私は戦場へ行き、倅の仇を討つ。たとえゼウスの雷に打たれるのが運命であろうとも構わぬ!」

彼は「恐怖」と「潰走」という名の馬に戦車をつながせ、武具を身につけようとしました。

しかしそれを止めたのは女神アテナでした。
「アレスよ、狂ったのか。今それをすれば自ら破滅するだけだ。ゼウスの意志を忘れたのか。それに討たれているのはお前の息子だけではない。多くの戦士が命を落としているのだ」

アレスはしぶしぶ怒りを抑えるしかありませんでした。

イリスとアポロン、ゼウスの命を受ける

その後、ヘラはイリスとアポロンを外へ連れ出し、ゼウスのもとへ向かうよう告げました。

まずゼウスはイリスに命じます。
「イリスよ、ポセイドンに告げよ。戦いをやめてオリュンポスへ戻るか、聖なる海へ引き返せとな。もし従わぬなら、わしが力ずくでそうさせると伝えよ」

イリスはただちに戦場へ飛び、ポセイドンにゼウスの言葉を伝えました。

ポセイドンは怒りをこらえながら答えます。
「腹立たしく、しゃくにさわるが今は退こう。だがいずれ、ギリシャ勢が勝つ時が来なければどうなるか分からぬぞ」

こうしてポセイドンは海へ帰りました。海神の助けを失ったギリシャ軍は大きく落胆します。

次にゼウスはアポロンへ言いました。
「ポセイドンはすでに海へ帰った。アポロンよ、ヘクトルのもとへ行き、力を与えてやれ。ギリシャ軍を船陣まで追い立てさせるのだ。その後のことは、わしが考えよう」

こうして再び、神々の思惑が戦場を大きく動かし始めたのです。