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アガメムノンの使節アングル〈アガメムノンの使節〉

あらすじ

トロイア軍の猛攻により、ギリシャ軍は恐怖と敗走の気配に包まれていました。

総大将アガメムノンはついに撤退を口にしますが、勇将ディオメデスがこれに強く反論し、戦い続ける決意を示します。老ネストルも知恵を授け、アキレウスと和解して戦場に戻ってもらう策を提案しました。

自らの過ちを認めたアガメムノンは、多くの贈り物を用意してアキレウスをなだめようと決断します。そこでオデュッセウスやアイアス、老ポイニクスらが使者としてアキレウスの陣屋へ向かいました。

アキレウスは使者たちを温かく迎えますが、オデュッセウスは戦況の危機を訴え、父ペレウスの教えを引きながら、怒りを捨てて戦場に戻るよう説得を始めるのでした。

絶望のギリシャ軍、総大将アガメムノンの撤退提案

ギリシャ軍の陣営には、身も心も凍らせる敗走の神ポボスと恐怖の神デイモスの気配が漂い、兵士たちは深い悲嘆に沈んでいました。

トロイア軍の勢いは凄まじく、総大将アガメムノンもついに口を開きます。
「われらは故国アルゴスへ引き上げるほかあるまい。ゼウスはトロイア攻略を許さず、多くの武将を失わせ、帰国せよと言っているようだ」

この言葉に、陣中は重苦しい沈黙に包まれました。

しかし沈黙を破ったのは勇将ディオメデスです。
「アトレウスの御子アガメムノンよ、私はその意見に反対する。ギリシャ軍はそれほど弱くはない。われらはトロイアを打ち破るまで戦い続ける。少なくとも私とステネロスは最後まで戦う」

この言葉に勇気づけられ、老将ネストルも続きました。
「アガメムノン王よ、今夜はまず食事を取り、最善の策を練るとしよう」

こうしてアガメムノンは陣屋に長老や将軍たちを集め、夜の会議と宴を開いたのです。

ネストルの進言、アキレウス和解案

宴の席でネストルは静かに口を開きました。

「アガメムノン王よ、わしは最善の策を申し上げたい。あなたは勇者アキレウスの怒りを顧みず、彼の戦利品プリセイスを奪った。それは我々にとっても望まぬことだった。今からでも遅くはない。多くの贈り物を与えて彼をなだめ、戦場へ戻ってもらうのだ」

この助言にアガメムノンもついに過ちを認めました。「その通りだ。わしは思慮を失って過ちを犯した」

アガメムノン、巨額の贈り物で和解を試みる

アガメムノンはアキレウスに与える贈り物を次々と挙げていきます。

レスボス生まれの美女七人、そしてまだ手を触れていないプリセイスを返還すること。さらにトロイアを攻略した暁には美女二十人を与えること。

アルゴスに帰れば自分の娘のうち好きな者を妻に迎えることも許すと約束しました。加えて豊かな七つの町まで与えるという破格の条件でした。

しかしアガメムノンは最後にこう付け加えます。「それでもアキレウスはここで折れて、わしに従うべきである。わしは王なのだから」

アキレウス説得の使者団

ネストルはアキレウスへの使者として大英雄アイアスと知略の人オデュッセウスを選びました。

さらにアキレウスの養育係である老ポイニクス、そして伝令オディオスとエウリュバテスも同行します。

王の許可を得ると、彼らはすぐにアキレウスの陣屋へ向かいました。

アキレウスの陣屋、竪琴を奏でる英雄

その頃アキレウスは親友パトロクロスをそばに座らせ、竪琴を奏でて英雄たちの物語を歌っていました。

使者たちを見ると、彼は立ち上がり温かく迎えます。
「ようこそ来られた。さあ席につき、食事を共にしよう」

宴が整うと、オデュッセウスが口を開きました。
「アキレウスよ、今は静かな食事を楽しんでいる時ではない。ゼウスはトロイアに味方し、雷を放っている。ヘクトルは軍勢を率いて船陣の前に野営し、我らはこの地で滅びるのではないかと皆恐れている」

さらに彼は、父ペレウスの教えを思い出させます。
「出征の日、父上はこう言われたではないか。『わが子よ、誇り高ぶる心を抑え、温和な心を持て。そうすれば皆から尊敬されるだろう』と」

そしてオデュッセウスは、アガメムノンが約束した贈り物を一つ一つ説明しました。
「怒りを収めてほしい。プリセイスも返される。まだ王は彼女に手を触れていないと言っている。それでも王が憎いのなら、せめて我々を憐れんでくれ。ヘクトルは狂気のごとく兵をなぎ倒し、ギリシャ軍には自分に敵う者はいないと豪語しているのだ」

こうして、アキレウスの怒りを鎮めるための説得が始まりました。