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テレマコスのルート〈テレマコス、ピュロスからスパルタへそして帰還〉

あらすじ

テレマコスは無事にイタケの館へ帰り、乳母や女中、母ペネロペイアに迎えられます。

彼はスパルタで聞いた父オデュッセウスの消息を語り、仙女カリュプソのもとにいるという話を伝えました。

しかし預言者テオクリュメノスは、オデュッセウスはすでに帰国していると予言します。

その頃、オデュッセウスは豚飼いエウマイオスに連れられて館へ向かっていました。途中で山羊飼いメランティオスに侮辱されながらも怒りをこらえます。

館の前では忠犬アルゴスが主人との再会を果たし、安心したように息を引き取りました。

オデュッセウスは乞食の姿で館に入り、求婚者たちに物乞いをしますが、アンティノオスに足台を投げつけられます。それでもテレマコスは父の指示どおり耐え、復讐の時を待つのでした。

テレマコス、ついに館へ帰る

テレマコスが館に帰ってきたと知ると、乳母エウリュクレイアは思わず声を上げて泣き出し、彼のもとへ駆け寄りました。
ほかの女中たちも喜び、彼のまわりに集まってきます。

母ペネロペイアは涙を流しながら息子を抱きしめました。

「よく帰ってきてくれました。もう二度と会えないのではないかと思っていました。
そなたは私のかけがえのない光です。父上の消息について、見たこと、聞いたことをすべて話しておくれ」

テレマコスは答えました。

「母上、求婚者たちの企みを逃れて無事に帰ることができました。
ですが、その前にやらねばならぬことがあります。

私とともに帰ってきた客人を迎えに、これから集会場へ行くのです。
ペイライオスに世話を頼んでおいたのです」

客人を伴って館へ戻る

テレマコスが集会場へ行くと、求婚者たちが彼を取り囲みました。

そこへ槍の名手ペイライオスが客人を連れて現れます。
テレマコスは何事もなく二人のもとへ行き、客人を館へ案内しました。

そして、母ペネロペイアが知りたがっている話を語り始めました。

メネラオスの証言に揺れるペネロペイア

「ピュロスのネストル殿は父上の消息を知りませんでした。
ですが、『スパルタのメネラオス王を訪ねよ』と助言してくださいました。

そこでメネラオス王に事情を話すと、王はこう言われました。

『無法な求婚者め。勇者オデュッセウスの寝所に入り、夫人と寝ようなどと、なんという大それたことを考えるのか』

そして父上のことについて、海神ネレウスから聞いた話を教えてくれました。

『オデュッセウスは、仙女カリュプソに引き留められている。
船もなく、船員もいないため帰る術がなく、たいそう嘆いているのを見た』ということでした」

この話を聞き、ペネロペイアは大きく動揺しました。

その時、客人である預言者テオクリュメノスが口を開きます。

「オデュッセウス王は、すでに帰っておられます。
やがて求婚者たちに鉄槌を下すでしょう。

私は船の上で、その前兆となる鳥のしるしを見ました。
それでテレマコス殿に声をかけたのです」

ペネロペイアは言いました。

「客人よ、どうかあなたの言葉がその通りになりますように。
そうなれば、私はあなたを歓待し、たくさんの贈り物を差し上げましょう」

オデュッセウスとカリュプソベックリン〈オデュッセウスとカリュプソ〉

性悪な山羊飼いメランティオス

その頃、豚飼いエウマイオスはオデュッセウスを連れて町へ向かっていました。

街の泉の近くで、二人は性悪な山羊飼いメランティオスに出会います。
彼はすぐに嫌味を浴びせました。

「おやおや、卑しいやつが卑しいやつを連れているぞ。
おい豚飼い、その乞食をどこへ連れていく。

王の館へ行くつもりなら、求婚者たちが投げつける足台で肋骨を砕かれることになるだろうよ」

そう言うと、すれ違いざまにオデュッセウスの腰を足で蹴りました。

オデュッセウスは一瞬、殴り殺してやろうかと思いましたが、
必死に怒りをこらえました。

メランティオスは急ぎ館へ向かい、
オデュッセウスとエウマイオスもその後を追います。

忠犬アルゴス、主人と再会して死す

館の前の広場には、かつて俊足で名を知られた老犬アルゴスが横たわっていました。

オデュッセウスが近づくと、犬は主人に気づいたかのように尾を振り、
かすかに一声あげました。

そして安心したように、静かに息を引き取ったのです。

求婚者たちの前での屈辱

エウマイオスは先に館へ入りました。
テレマコスは彼をそばに呼び寄せます。

ぼろをまとったオデュッセウスも中に入ると、
山羊飼いメランティオスがアンティノオスに言いました。

「この他国者をここに連れてきたのは、豚飼いエウマイオスです。
私はあの男の素性を知りません」

オデュッセウスは求婚者たちの間を歩き回り、物乞いをしました。

アンティノオスの前に来ると、例の身の上話を始めます。

アンティノオスは吐き捨てました。

「いったいどの神が、この厄病神をここへ送り込んだのだ」

それに対し、オデュッセウスは言います。

「あなたは立派な風貌をしておるのに、それに見合う心を持っておらぬ。
他人の食卓に山ほどの料理が並んでいるのに、パンのひとかけらも施さぬとは。
あなたは塩の一粒さえ与えぬ人だろう」

アンティノオスは怒りに震えました。

「そのような口をきくなら、お前はこの館を無事には出られぬぞ」

そう言うと、足台をオデュッセウスの右肩に投げつけました。

テレマコスは心の中で恐るべき報復を思い描きましたが、
父の言いつけを守り、黙って首を横に振るだけでした。

ペネロペイア、謎の客人に関心を抱く

ペネロペイア〈ペネロペイア〉

その様子を聞いたペネロペイアは、豚飼いエウマイオスを呼びました。

「エウマイオスよ、あの他国の者をここへ呼んでおくれ。
諸国を旅しているなら、夫のことを何か知っているかもしれぬ」

エウマイオスは客人に伝えます。

「ペネロペイア様がお呼びだ。
ご主人のことをお聞きになりたいそうだ」

オデュッセウスは答えました。

「すぐにでもお話ししたい。
だが、あの求婚者どもが恐ろしい。先ほども足台を投げつけられた。

日暮れまで待っていただきたいとお伝えしてくれ」

エウマイオスが伝えると、ペネロペイアは言いました。

「そこまで思慮が回るなら、あの客人は愚か者ではなさそうだ」

忍び寄る復讐の時

エウマイオスはテレマコスに挨拶をすませ、牧場へ戻りました。

その頃、館では求婚者たちが相変わらず歌と踊りに興じています。

しかし、その広間の片隅では、
彼らの運命を変える復讐の計画が、静かに進みつつあったのでした。