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石に変わるアトラス〈石に変わるアトラス〉

アンドロメダに会う前のペルセウス

メデューサを退治したペルセウス。ほっとし、風に流されるまま諸国を飛んでいました。

リビアの上空にさしかかると、メデューサの血が滴り落ち地面に染み込むと、そこからたくさんの蛇がわきだしたました。それで、ここは蛇が多い土地として有名になりました。

やがて、ペルセウスは飛んでいると、夕暮れになってしまいました。

「今夜はここらで、休もう」
彼は宿を求めて、このヘスペリアの地におりました。

そこはティターンのイアペトスの息子アトラスの領地。アトラスは、あのプロメテウスとエピメテウスの兄弟です。大地の「西のはて」と一日の終わりに太陽神の馬車を水面で迎える「西の海」がアトラスの領地。近隣に他国はなく、たくさんの牛と羊が大きな牧草地に飼われています。

また、アトラスの領地には、あの黄金の林檎の果樹園もあります。

アトラスの館の扉を叩くペルセウス。
「どうか一夜の宿をお願いしたい。もし、あなたが私の家柄などを知りたいという慎重な方なら、わたしの父は大神ゼウス。また、もし武勲など尊ばれるお方なら、わたしはメデューサを退治してきた者です。けっして怪しい素性の者ではありません。どうか、今夜の宿をお願いできないでしょうか」

女神テミスの神託

正義の女神テミス〈正義の女神テミス〉

アトラスはかつて、正義の女神テミスから神託を受けていました。
「アトラスよ、おまえの木から黄金の輝きが奪われる日がくるだろう。それを奪いとるのはゼウスの息子だ」

だから、アトラスは黄金の林檎の果樹園を巨大な竜ラードーンに守らせていたのです。

メデューサの首を取り出すペルセウス

アトラスは警戒して、横柄な態度を取りました。
「ここには近寄らぬことだ。ゼウスの息子だとか、メデューサを退治したとかは嘘に決まっている。近づくと命がないぞ!」

アトラスは言葉ばかりか、力ずくでもペルセウスを追い返そうとしました。ペルセウスは、力では到底アトラスにはかないません。さっと後ろをむくと、キビシスの袋からとり出したのはメデューサの首。

アトラスにむけて
「一夜の宿を提供することで感謝されるのが嫌だというのなら、これをわたしの方から差し上げよう!」

たちまち、アトラスのひげと髪は木々となり、肩と手は尾根となり、体は大きな山になり、頭はその山頂となった。さらに、その山は大きく広がり、全天空がアトラスの上に乗ってきた。こうして、アトラスは死んでも天空を支えているのです。

それが、ゼウスをはじめとした神々の思惑であったのは言うまでもありません。

ヘラクレスの難業[11・12]黄金の林檎と冥界の番犬ケルベロス

天球を支えるアトラスグエルチーノ〈天球を支えるアトラス〉