バーン=ジョーンズ〈ヘスペリデスの園〉
ヘラクレスの難業11 ヘスペリデスの黄金の林檎
その林檎(りんご)は、ゼウスとヘラが結婚する時に大地女神ガイアが贈ったもの。ヘラはこの林檎をヘスペロスの娘たち(ヘスペリデス)と眠らない竜ラードーンに守らせていました。
ヘラクレスはヘスペリデスの黄金の林檎をどうしても見つけられなかったので、あのプロメテウスに助言を乞いました。
「ヘスペリデスの父親アトラスなら探せるだろう」
このヘラクレスへの助言により、プロメテウスはカウカーソス山の戒めから解放されたのです。
グリーペンケル〈プロメテウスを解放するヘラクレス〉
アトラスはティターン族の一人。
『ティタノマキア』の時に凄まじい反抗をしたので、ゼウスから天球を支える重い罰を受けていたのです。ヘラクレスはアトラスが林檎を探しに行っている間、代わり天球を支える条件を出しました。
数日後アトラスが林檎を持って帰ってきた時、ヘラクレスは交代するように言いました。
「俺が、エウリュステウス王に林檎を届けよう」
アトラスは二度と重い天球など担ぎたくないので、そう言ってごまかしました。
ヘラクレスは思案した後、
「天球の担ぐ位置を変えたいので、ちょっと天球を持っていてくれ」
と頼みました。
アトラスはちょっとの間ならいいかと天球を受け取りました。そのとたん、ヘラクレスは林檎を奪って逃げたのです。ヘラクレスは怪力だけでなく、なかなかの知恵者です。
林檎はエウリュステウス王に一度届けられましたが、女神アテナによりヘスペリデスの園に返却されました。林檎は女神ヘラのものだからです。
〈ヘラクレスとラードーン〉
ヘスペリデスの園がどこにあるか知らないヘラクレスは、場所を知っている海神ネレウスを探し出しました。ネレウスは怪物や火などに変身して逃げようとしましたが、逃げられず場所をヘラクレスに教えました。
ヘラクレスはすぐさまヘスペリデスの園ヘ行き、守っている竜ラードーンを倒して林檎を手に入れました。このラードーンは、女神ヘラによって〈りゅう座〉になったといわれています。
ヘラクレスの難業12 冥界の番犬ケルベロス
10の難業の最後(2件は認められなかった)が、冥界の番犬ケルベロを地上に連れてくること。ケルベロスはオルトロスの兄弟です。
ヘラクレスはアテナとヘルメスに案内されて、冥界に行きました。冥界の王ハデスはケルベロスを傷つけなければ、連れて行ってよいとの承諾をしました。
ヘラクレスは力ずくでケルベロスをエウリュステウス王の前に連れて行きます。
しかし、王はもともと気が小さいので、ケルベロスを見るとカゴの中に隠れてしまったということです。
なお、地上に出たケルベロスはあまりに太陽の光が明るいので驚き吠えた時、唾液がとびちり、落ちた地面から毒草トリカブトが生えたということです。
この難業の時、冥界で「忘却の椅子」に捕われていたテセウスとペイリトオスのうち、テセウスだけを助けたということです。
>>ヘラクレスの最後と神格化
※ヘラクレスの難業は10でしたが、難業2のヒュドラ退治と難業5のアウゲイアース牛小屋掃除は、数に入れられませんでした。
ルーベンス〈ヘラクレスとケルベロス〉