1話5分で読めるギリシャ神話

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ミニュアスの3人の娘 - コウモリの話

バッカスは、幼い子供として描かれることも多い。しかし、その酔いの威力は、彼を崇める女たちを狂気にさせます。その結果、テーバイの王ペンテウスの母アガウエーは、息子を殺してしまいます。
「みんな来ておくれ。あの猪をやっつけるんだ!」バッカスの祭りをやめさせようと山にやってきたペンテウス王。その姿は、母アガウエーだけでなく、2人の叔母のアウトノエーとイーノーにも大きな猪として見えてしまったのです。
ディオニュソスの凱旋 2】参照

バッカスとコウモリ

「バッカスはユピテル(ゼウス)の子ではない」

バッカス(ギリシャ神話=ディオニュソス)の神官は、布告を出して注意を促しました。
「女主人も召使いも仕事をやめて、鹿皮の衣に身を包み、髪のリボンを解いて、花冠をかぶり、手には葉のついた常春藤(キズタ)の杖を持って、バッカスの祭りに参加するように」

しかし、ミニュアスの3人の娘は
『そんな祭りは許せない。しかもバッカスはユピテル(ゼウス)の子ではない」
と、いつも言い張っていました。

「ミネルウァ(アテーナ)様、寛大な御心とお情けをもって、どうか私たちの元へおいでください」
バッカス神の故郷テーバイ市の女たちは、みなミネルウァの祭りを行っていたのです。

ミニュアスの3人の娘も家の中にいて、機織り仕事に精を出していました。バッカス神の祭りを冒涜していたのです。
「他の女たちはみんな仕事をやめて、偽の祭りに出かけている。でも、私たちは、ミネルウァ様のお仕事をしていましょう。そうだ、もっと機織が楽しくなるように順番にお話をしましょうよ。どうせ耳は空いているのだから」

3人の娘は、それぞれ順番に話すことになりました。

アルキトエは『ピューラモスとティスベー』のお話を、
レエコノエは『クリュティエ ひまわり』の話を、
アルキトエは『両性具有ヘルマプロディートス』の話をしました。
こうして、3人は興味深く話をしたり聞いたりしていました。

しかし、アルキトエが話し終えた時です

大きな太鼓の音がドンドンとなり、角笛が吹き荒れ、大きなシンバルの音が響く渡ります。同時に、家の中に没薬とサフランの香りが立ちこめます。機織機は緑色になり、吊られた織り布は常春藤になり、中にはぶどうの木に変わってしまいました。糸は若枝に、縦糸からは巻きひげが生えはじめ、真紅の糸マリはブドウの実となって輝きます。

時は、暗くもなく、明るくもないトワイライトゾーン。
突然、家が揺れ、燃え上がる炎、家は赤々とした火に輝き、まるで獣が吠えているかのようです。

3人の娘は、暗がりを求めて、ついに...

姉妹たちは煙から逃げ、火炎を避けようとします。こうして暗い方へ、暗い方へと暗がりを求めているうちに、手足が小さくなり、そこに膜が張り、腕は薄い翼へと変わりました。暗闇の中では、姉妹たちは自分の変身に気づくこともありません。すると、体が浮き上がり、話そうとしてもキーキーと小さな声しか出てこないのです。

こうして、今やミニュアスの3人の娘はコウモリとなって光を嫌い、夜陰を飛びまわるようになったのです。

※ラテン語の「コウモリ(vespertilio)」という名は、「夕暮れ(vesper)」から取られました。

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