1話5分で読めるギリシャ神話

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【第15歌】後編:ヘクトルの再起とパトロクロス

パリスを諌めるヘクトル

(イリアス 第15歌 後編)

ヘクトルの再起

アポロンは急いで地に降り、やっと気がついたばかりのヘクトルに告げます。
「ゼウスは、このアポロンを遣わしたのだ。もう案ずることはない。私が先頭に立ち、ギリシャ軍を潰走させてやろう」

これを見ていたギリシャ軍のアンドライモンの一子トアスは
「今、なんという驚くべき奇跡を見たことか。死を免れて、ヘクトルが再び立ち上がった。神が彼を救われたのに違いない。ゼウスの神意なしでは考えられぬことだ。今はわしの意見を聞いてくれ。大部分の軍勢は船陣に引き上げさせ、一部の軍勢だけでヘクトルを止められるか試してみよう」

かくして、アイアス、テウクロス、イドメネウス、メリオネス、メゲスらが残りました。
しかし、ヘクトルの軍勢の先頭にたったアポロンが、ギリシャ勢に恐怖を起こさせます。戦意を失ったギリシャ勢は多くの武将を討ちとられ、防壁の内に敗走せざるをえません。

さらに、アポロンは深い濠の堤をやすやすと踏み倒し、トロイア勢のために通路を作りました。彼らは、一気になだれこみました。

ギリシャ軍、追い詰められる。

ギリシャ勢は、船の側で踏みとどまるのがやっとのあり様。それぞれの兵士が、助けを神々に求めたほどです。老ネストルさえも願います。
「ゼウスよ、オリュンポスの神々よ、かつて無事の帰国を約束してくださったのであれば、我らに無残の日が訪れぬようお護りください」

ゼウスはその願いを聞き届け、凄まじい雷を鳴らしました。

雷を聞くと、トロイア勢はさらに戦意を燃やし、ギリシャ勢に襲いかかります。

パトロクロス、アキレウスの許へ。

その頃、戦友の手当てをしていたパトロクロス。トロイア勢が防壁に迫るのに気付き
「エウリュピュロスよ、いつまでもここにいるわけにはいかぬようだ。急いでアキレウスの許へ帰って戦うよう進言する」

デウス、テウクロスの弓弦を断ち切る。

数が少ないトロイア勢と数が多いギリシャ勢の戦いは、それでも拮抗していました。この時、ヘクトルは再度大アイアスに向かって行きます。ヘクトルの従兄弟カレトル、大アイアスの従者リュコプロンが槍で討たれました。
だいアイアスは兄弟に叫びます。
「テウクロスよ、アポロンから賜った弓はどこへやった」
テウクロスは大アイアスのそばに駆け寄り、矢を放ちます。矢はトロイア兵の首を射抜きます。彼はさらにヘクトルに狙いを定めました。

しかし、デウスがこれに気付かぬはずはありません。なんと、テウクロスの弓弦を断ち切ったのです。矢はあらぬ方へ飛び、弓はテウクロスの手から落ちました。
「ああ、なんたることか。神はわしの弓を壊してしまった。今朝、弓弦は新調したばかりだというのに」
「兄弟よ、神が壊してしまわれたのならば、槍で戦うしかあるまい」

ヘクトル、全盛期の日

へクトルはこれを見ると、
「皆の者、弓の名手の放った矢が、ゼウスによってそらされたのを私は見た。神は、我らトロイアの見方だ。さあ、一団となって戦おう」
一方、大アイアスは
「今こそ、我らがここで果てるか、船団を守れるか、それを決する瀬戸際である。船団に火が放たれたら、徒歩で帰国できると考えているのか。今はもう、腕力で戦うしかない。それに勝る思案も策もない」

ギリシャ勢はみなこの危機を逃れようとはせず、討ち死を覚悟していました。一方、トロイア勢は船に火を放ってギリシャ軍を討ち果たさんと決意しています。こうして、両軍の戦いは熾烈を極めていきます。

ゼウスはヘクトル一人に名を挙げさせようとしていました。それは、アテネがアキレウスの力を借りて、ヘクトルの最後の日を早めんとしていたからです。

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