1話5分で読めるギリシャ神話

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【第4歌】番外:トロイア戦争後、メネラオスのエジプト漂流

アガメムノン暗殺時、弟のメネラオスが近くにいなかったことの事情がここで説明されています。なんと、ギリシャをはるかに南下して、エジプトまで流されていたのです。
メネラオスが海の翁プロテウスを捕える話は、アキレウスの父ペーレウスが母テティスを捕える話と全く同じです。この話は、海の神を捕える一般的な話なのかもしれません。

(オデュッセイア 第4歌 番外)

次の日、メネラオスはテレマコスに来訪の理由を尋ねました。
「なんの目的で、このスパルタまでやってきたのか、話してくださらぬか」

「メネラオス王よ、あなたが父オデュッセウスの消息を何かご存じないかと思い、お訪ねしました。今、我が家は母への求婚者たちに毎日財産が食いつぶされております」
「何ということであるか。いつか、オデュッセウスは彼らに死の運命を下すであろう」
そう言うと、メネラオスはエジプトに漂流した時のことを詳しく話しはじめました。

トロイア戦争後のメネラオスのエジプト漂流

エジプトから1日の航海の距離に、パロスという島があります。神々へ百頭牛の生贄をしなかったメネラオス一行は、この島に20日間止めおかれていました。船を運んでくれる順風が吹かなかったのす。食料も無くなり、メネラオス一行は体力も消えかけていました。それを見て憐れんだ海の翁プロテウスの娘エイドテエが助けてくれることになったのです。

「エジプトの神で海の翁プロテウスを捕えることができれば、今後の旅の順路や道中のことなど、いかに帰国すべきか教えてくれよう。また、故郷の屋敷で起こった善きことも善からぬことも語ってくれよう。安心しなさい、プロテウスは真実しか語りません」
メネラオスは答えます。
「人間の身で神を捕えるなど容易なことではありません。どうしたら、その海の翁を捕えることができましょうか」

メネラオス、海の翁プロテウスを捕える。
〈メネラオス、海の翁プロテウスを捕える〉

メネラオス、海の翁プロテウスを捕える。

「その翁は、真昼になるとうつろな岩屋で昼寝をします。その周りにはアザラシが群れをなして集まります。翁はアザラシの数を確認し、眠りにつきます。私がアザラシの皮を4枚用意しますから、あなたと家来3人はその皮で身を隠しなさい。アザラシの臭気は耐えられないほどですが、私がアンブロシアで作った薬の香気であなた方の鼻を守ります。

海の翁が眠りについたなら、4人でしっかり取り押さえなさい。翁は、どんなものにも変身できます。獅子、大蛇、豹、大猪、流れる水や大木などです。しかし、恐れず4人でしっかり取り押さえなさい。そうすれば、海の翁は今後の真実を語ってくれましょう」

海の翁プロテウスの娘エイドテエに教えられたように、メネラオスたち4人は海の翁プロテウスを取り押さえ、今後の真実を教えてもらったのです。

兄アガメムノンの暗殺とオデュッセウスの消息

その時に、メネラオスは、他のギリシャ勢が無事帰国したかどうかも尋ねました。
海の翁は話しました。小アイアースの死、そしてメネラオスの兄アガメムノンは無事帰国したが、アイギストスと妻クリュタイメストラに謀殺されたことも。
メネラオスの胸は、兄の死によって張り裂けそうになりました。

「メネラオスよ、嘆いていても始まらぬ。エジプトに戻り、神々に百頭牛の生贄を捧げたのち、早く帰る手立てを考えるのだ」
メネラオスは勇気を出して、気になるオデュッセウスの消息を尋ねました。

「その男が、仙女カリュプソの島の屋敷で泣いている姿を見たことがある。彼にはまだ船もなく帰ることは叶わぬ。最後にゼウスの娘ヘレネーを妻としているから、お主はいずれスパルタを離れ、楽園エリュシオンに行くことになろう」
海の翁プロテウスは話し終わると、海に帰って行きました。

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