1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

ペルセウスとアトラス

石に変わるアトラス
エドワード・バーンズ・ジョーンズ〈石に変わるアトラス〉

アンドロメダに会う前のペルセウス

メドゥーサを退治したペルセウス。ほっとし、風に流されるまま諸国を飛んでいました。リビアの上空にさしかかると、メドゥーサの血が滴り落ち地面に染み込むと、そこからたくさんの蛇がわき出したました。それで、ここは蛇が多い土地として有名になりました。

さらに、ペルセウスは飛んでいると、夕暮れになってしまいました。
「今夜はここらで、休もう」
彼は宿を求めて、このヘスペリアの地におりました。

そこはティターンのイアペトスの息子アトラスの領地。アトラスは、あのプロメテウスとエピメテウスの兄弟です。大地の「西のはて」と一日の終わりに太陽神の馬車を水面で迎える「西の海」がアトラスの領地。近隣に他国はなく、たくさんの牛と羊が大きな牧草地に飼われています。また、アトラスの領地には、あの黄金の林檎の果樹園もあります。

アトラスの館の扉を叩くペルセウス。
「どうか一夜の宿をお願いしたい。もし、あなたが私の家柄などを知りたいという慎重な方なら、わたしの父は大神ゼウス。また、もし武勲など尊ばれるお方なら、わたしはメドゥーサを退治してきた者です。けっして怪しい素性の者ではありません。どうか、今夜の宿をお願いできないでしょうか」

正義の女神テミス
〈正義の女神テミス〉

女神テミスの神託

アトラスはかつて、正義の女神テミスから神託を受けていました。
「アトラスよ、おまえの木から黄金の輝きが奪われる日がくるだろう。それを奪いとるのはゼウスの息子だ」
だから、アトラスは黄金の林檎の果樹園を巨大な竜ラードーンに守らせていたのです。
【ヘラクレスの功業11 ヘスペリデスの黄金の林檎】

メドゥーサの首を取り出すペルセウス

アトラスは警戒して、横柄な態度を取りました。
「ここには近寄らぬことだ。ゼウスの息子だとか、メドゥーサを退治したとかは嘘に決まっている。近づくと命がないぞ!」
アトラスは言葉ばかりか、力ずくでもペルセウスを追い返そうとしました。ペルセウスは、力では到底アトラスにはかないません。さっと後ろをむくと、キビシスの袋からとり出したのはメドゥーサの首。
アトラスにむけて
「一夜の宿を提供することで感謝されるのが嫌だというのなら、これをわたしの方から差し上げよう!」

たちまち、アトラスのひげと髪は木々となり、肩と手は尾根となり、体は大きな山になり、頭はその山頂となった。さらに、その山は大きく広がり、全天空がアトラスの上に乗ってきた。こうして、アトラスは死んでも天空を支えているのです。

それが、ゼウスをはじめとした神々の思惑であったのは言うまでもありません。

天球を支えるアトラス
グエルチーノ〈天球を支えるアトラス〉バルディーニ博物館

前のページへ 次のページへ