1話5分で読めるギリシャ神話

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夜の女神ニュクス

夜の女神(モロー)
モロー〈夜の女神〉

夜の女神ニュクスとその子供達

ニュクスは、原初のカオスから生まれた古くからの女神です。天界の歴代の支配者ウラノス、クロノス、ゼウスさえも恐れていました。

ニュクスの子には、モロス(死の定業)、死の運命であるケール、またタナトス(死)、ヒュプノス(眠り)、オネイロス(夢)の一族、更に、モーモス(非難)とオイジュス(苦悩)がいます。

さらに、ネメシス(義による復讐)、アパテー(欺瞞)、ピロテース(愛欲)、ゲーラス(老年)、そして人間の苦しみの大きな原因とも言える「争い」の女神エリスもニュクスの子です。

この争いの神エリスは、女神テティスとペーレウスの結婚式に招かれなかった腹いせに、「最も美しい女神に」と記した黄金のリンゴを宴の場に投げ入れました。このことが発端になり、あのトロイア戦争が起こったのです。

ネメシス〉参照

パリスの審判〉参照

夜の女神/ニュクス-オーギュスト・レイノー
オーギュスト・レイノー〈夜の女神ニュクス〉

アトラスの娘で黄金のリンゴの樹を守っているヘスペリデスも、ヘシオドスはニュクスの娘と呼んでいます。

運命の三女神モイライもニュクスの娘とされ、クロートーは運命の糸を紡ぎ、ラケシスはその糸の長さを決め、アトロポスが最後に糸を断ち切ります。

ヘラクレスの功業11 ヘスペリデスの黄金の林檎〉参照

運命の3女神〉参照

夜と眠りの女神
イーヴリン・ド・モーガン〈夜と眠りの女神〉

昼の女神ヘーメラーもニュクスの娘

あまり神話には出てきませんが、ヘーメラーもニュクスの娘です。母娘二人は表裏一体をなす存在で、世界の西の果ての地下に館を共有しています。ニュクスが世界を巡って夜をもたらしている間は、ヘーメラーがここで眠っています。そして、ヘーメラーが世界を巡って昼をもたらしている間は、ニュクスがここにいます。ですから、二人が一緒に館にいるのは、昼と夜の境目の一瞬だけです。

人間は夜になると、様々な想像・妄想をいだきます。それが、夜の女神ニュクスを多くの画家が描く理由ではないでしょうか。

ヘーメラー(昼)
ウィリアム・アドルフ・ブグロー〈ヘーメラー 昼〉