※本ページにはプロモーションが含まれています。

ヒュラースウォーターハウス〈ヒュラースとニンフ〉

悔いを残した勝利

アルゴー船は海賊に苦しめられている港に上陸しました。街の人々に大変喜ばれ、水も与えられ、またごちそうにもなり、その日の夕方出発しました。夜になって嵐に遭い、方向も分からず流されて、とある港にたどり着きました。

すると、突然人々が襲ってきたのです。アルゴー船の乗組員(アルゴナウタイ)は勇者達ですから、簡単に彼らをやっつけてしまいました。

翌朝、襲ってきた人々を確認すると、なんということでしょうか! 昨日ごちそうをしてくれた街の人々だったのです。彼らは、アルゴー船を海賊と間違えていたのす。

悔いを残したまま、アルゴー船は出発します。

ヘラクレスの小姓ヒュラース

水が足りなくなったのでとある岸辺に休航。ヘラクレスの小姓ヒュラースたちが水を汲みに出かけました。彼らは森の奥の沼にたどり着くと、水を汲み始めました。

沼の底からヒュラースを見ていた水の精は、その美しさに思わず、彼を水の中に引き込みました。
「ヘラクレ〜ス、助けてくれ〜」

その声を聞いたヘラクレスは急いで森の中に入りましたが、ヒュラースはどこにもいません。

彼があちこち探しているうちに、なんとアルゴー船は出発してしまいました。ですので、この遠征でのヘラクレスの活躍する物語はなくなってしまいました。

ピーネウスとハルピュイア
ポガニー〈ピーネウスとハルピュイア〉

予言者ピーネウスと怪鳥ハルピュイア

次に立ち寄った港には、偉大な予言者ピーネウスが住んでいました。ピーネウスはアポロン神から予言の能力を授かり、その能力で多くのことを予言していました。

その予言があまりに多かったため、ピーネウスはゼウスからある罰を受けていました。

彼が食事をするたびに、女の頭と胸をもつ怪鳥ハルピュイアが現れ、その足と汚物で食卓を汚すのです。また、その臭さといったら耐えられません。何年もたち、ピーネウスは骨と皮のガリガリ人間になっていました。

そこで、予言者ピーネウスにこの先の苦難を教えてもらうかわりに、イアソンは怪鳥ハルピュイアを退治すことを約束しました。

さっそく食卓が整えられ、ごちそうが並べられました。ピーネウスが食べようとすると、いつものようにハルピュイアが現れ、テーブルを汚物と足で汚し、耐えられぬ臭いを残して飛び去っていきました。

翼を持った北風の双子の息子カライスとゼテスがこれを追いかけ、北風の寒さの中で1羽1羽ハルピュイアを凍えさせ、海に落として退治しました。

こうして、ピーネウスは何年ぶりかの食事にありつけたのです。あまりに急いで食べたので、のどに詰まらせ、せき込み、涙が出てきました。アルゴナウタイはそれを見て、みんな大笑いしました。

打ち合わせの岩

約束通り、ピーネウスはこの先の苦難を語りました。

「この先に開いたり閉じたりする〈打ち合わせの岩〉があります。間を通る船は、その二つの岩に挟まれてつぶされてしまいます。1羽のハトを飛ばして、そのタイミングを見て間を通り抜けなさい」

次の日、1羽のハトをカゴにいれ、アルゴー船は出発。天にも届かんとするノコギリのような切りったった〈打ち合わせの岩〉に近づくと、ハトを飛ばしました。岩が狭まり、閉じ、また開きます。

ハトはうまく間をすり抜けて、向こう側に飛んでいきました。

イアソンはそれを参考に、二つの岩が狭まり開き始めた瞬間、大急ぎでアルゴー船を走らせます。かろうじて、アルゴー船は船尾をかすった程度で通過することができたのです。

目指す黒海の東海岸、コルキスの国はもう目前です。

アルゴー船の大冒険[3]メデイア姫の一目惚れと金羊毛の獲得

ハルピュイアクェリヌス〈ハルピュイアの追跡〉