ギリシャ神話の主神ゼウスは、数々の戦いや神々との駆け引きを経て、絶対的な王座を手にしました。
その中でも、オリュンポスの神々とタイタン神族の壮絶な戦い「ティタノマキア」、ガイアが生んだ巨人族との激闘「ギガントマキア」、そしてゼウスの運命を知る神「プロメテウス」の物語は、神話の中でも特にドラマチックです。
本記事では、ゼウスが繰り広げた3つの伝説的な戦いと、彼の知られざる秘密に迫ります。
ゼウス、神々の王へ「ティタノマキア」
オリュンポスの神々 vs タイタン神族
ゼウス率いるオリュンポスの神々 vs ゼウスの父クロノス率いるタイタン神族。この10年間にわたる戦いを「ティタノマキア」といいます。
タイタン神族とは、大地の女神ガイアと天の王ウラノスの子どもたち。6人の男神と6人の女神がいます。有名な神には、イアペトス(プロメテウスやアトラスの父)や、末弟で現天界の王クロノスなどがいます。ウラノスはクロノスの父です。
「お前の子がいずれ支配権を奪うだろう」
ウラノスはクロノスにこう予言していました。
そのため、クロノスはレアとの間に生まれた子を次々と呑み込んでしまいます。しかし、耐えられなくなった妻レアは、最後の子ゼウスを密かにクレタ島で産み、石を産衣で包んでクロノスに渡します。クロノスはそれに気づかず、石を飲み込みました。
成長したゼウスは、兄姉を助けるため知恵の女神メティスに助けを求めます。メティスがクロノスに吐き薬を飲ませると、ゼウスの兄姉が次々と吐き出されました。
すぐさま、ゼウスは兄姉とともにオリュンポス山に布陣。一方、クロノスもタイタン神族とともにオトリュス山に布陣します。
ハールレム〈タイタンの墜落〉
ゼウス、完全制覇へ「ギガントマキア」
神々はギガンテスを殺すことができない!
ティタノマキアに勝利したゼウスは、タイタン神族をタルタロス(奈落)に幽閉しました。
タイタン神族は大地の女神ガイアの子どもです。怒ったガイアは、新たにギガンテス(巨人族)を生み、ゼウスと戦わせます。これが「ギガントマキア」です。
しかし、オリュンポスの神々はギガンテスを殺すことができません。それを予測していたゼウスは、人間ヘラクレスをアルクメネに産ませていました。
ゼウス、生涯ただ一度の敗北!
ガイアの怒りは収まらず、彼女は究極の怪物チュポーンを生みます。
この怪物は天にも届き、両手を広げると世界の果てまで達し、両肩からは恐ろしい竜蛇の頭が100も生えています。
恐れたオリュンポスの神々は、それぞれ動物に変身し、エジプトへ逃亡しました。
チュポーンはゼウスの手足の腱を奪い、岩穴に閉じ込めます。これはゼウスにとって、生涯ただ一度の敗北です。
完全に追い詰められたゼウスは、チュポーンを倒すことができるのか?
ロマーノ〈ギガントマキア〉
プロメテウスだけが知るゼウスの秘密
「プロメテウスめ、いまいましい人間どもめ」
プロメテウスはただ一人ゼウスに屈しなかった神であり、人間をこよなく愛した神です。
ある日、祭壇に生け贄を捧げ、その肉を食べる時のこと。プロメテウスは、一方においしい肉と内臓を皮で包み、もう一方には固い骨をおいしそうなアブラ肉で包み、ゼウスに選ばせました。
ゼウスは、固い骨をおいしそうなアブラ肉で包んだ方を選択。内心立腹しましたが、プロメテウスを罰しませんでした。
それには理由がありました。
ゼウスには一つ気がかりなことがあったのです。
「自分の子に支配権を奪われるかもしれない」
しかし、「母になるのはどの女神か、人間の女か?」
ゼウスにはそれがわかりませんでした。
〈先を見通す者〉
プロメテウスだけが、その秘密を知っていたのです。
しかし、プロメテウスが天界の「火」を盗み、人間に与えた時、ゼウスはついに罰を与えざるをえませんでした。
こうして、プロメテウスはスキュティア山に縛り付けられたのです。
はたして、「母になる女神、あるいは人間の女は誰なのか?」
>>縛られたプロメテウス① 彼だけが知っているゼウスの運命とは?
ベルテレミ〈人間の創造〉
ギリシャ神話のゼウス伝説BEST3[まとめ]
ゼウスはティタノマキアで勝利し、ギガントマキアを経て完全なる支配者となりました。
しかし、プロメテウスだけがゼウスの未来を知っていたのです。彼の運命を左右する「予言」とは何だったのか?
ギリシャ神話の壮大な物語は、神々の権力争いだけでなく、人間との関わりも大きな要素となっています。
ゼウスの伝説は、今なお語り継がれ、多くの物語の原点となっているのです。