そんな〜!軽率な神話 ベスト3
ビーナスことアフロディーテと軍神アレースとの浮気がバレた時、「あなたの奥さんを私の妻にしたいのですが?」、あなたは〈不死〉になりたいですか?〈もう1つ〉のこともけっして忘れないでください。
アフロディーテ(ビーナス)の浮気
美人No.1アフロディーテの夫はびっこで不細工、しかし高い技術を持った神ヘーパイストス。そして、間男が軍神アレスです。
太陽神ヘリオス(アポローン)は、朝早く4頭の馬にひかせた自分の御車で天へ昇っていきます。だからでしょうか、朝方までアフロディーテとアレスが一緒の浮気現場をたびたび見ていたのでしょう。ヘーパイストスが気の毒になって、奥さんの浮気を伝えました。
ヘーパイストスは憤慨しましたが、すぐにアフロディーテに浮気の有無を問いただしません。ベッドの上に見えない鎖を張りめぐらした精巧なワナをしかけたのです。
ある朝、
ヘーパイストス「じゃ、仕事に行ってくるよ」
アフロディーテ「行ってらっしゃい、あなた」
夫を送り出したアフロディーテ。後ほど、軍神アレスがやってきました。そして、ベッドイン。
ヘーパイストスのワナ、透明の鎖が抱き合っている二人を裸のままとらえます。ヘーパイストスが帰ってくるまで、このワナは解けません。帰ってきたヘーパイストスの召集の声に集まり、浮気の証人となった神々。アフロディーテとアレスはいたたまれず、その場を離れました。
集まった神々の一人アポローンがヘルメースにささやきました。
「アフロディーテを抱けるなら、どんな恥ずかしい姿を晒してもかまわないと思わないか」
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【アフロディーテ(ビーナス)の浮気】
ティントレット〈ウルカヌス(ヘーパイストス)に見つかったヴィーナスとマルス〉
若きテーセウスとペイリトオス
テーセウスは、ギリシャ神話の大英雄です。が、親友のペイリトオスとの行動で、若気の至りとしか言いようがない事件を起こしました。もともと、ペイトリアスは牛を盗みにきてテーセウスに捕まり、その結果二人は意気投合し、親友になったのです。
そんな二人とも妻と死別した時、新たな婚約者は誰がいいか、話し合います。
ペイトリアス
「どう、ゼウスの娘なんか」
テーセウス
「うん、いいね」
まず、候補に上がったのが、まだ幼かったアルゴスのヘレネー。後にトロイア戦争の原因となった娘。ヘレネーは小さい時から可愛い、美人と評判だったのでしょう。
だから、ヘレネーを選ぶことは普通に考えられます。ですが、この先がいけません。なんと、もう一人に冥界の王ハーデースの妃ペルセポネーを選んだのです。ペルセポネーは人妻です。
テーセウスがヘレネー、ペイトリオスがペルセポネーに決まりました。早速二人は、いとも簡単にヘレネーを誘拐して、テーセウスの母アイトラーにあずけると、冥界に向かいます。
ヘラクレス以来の英雄だからでしょうか、テーセウス、簡単に冥界にまで行ってしまいます。
そして、ハーデースの前にもうでると
ペイトリオス
「あの〜、王様の奥さんペルセポネー様をわたしの妻にしたいのですが?」
テーセウス
「こいつはいい奴なんで、なんとか望みをかなえてやりたいんです」
自分の妻をもらいに来たと言われたハーデースがどう対処したか、想像してみてください。
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【テーセウスはおっちょこちょい?】
ルイ・ジャン・フランソワ・ラルグネ〈ヘレネとサイコロで遊ぶテセウスとペイリトオス〉
曙の女神エーオースの愛したティトノス
あなたは〈不死〉になりたいですか?
なれるとしても、〈もう1つ〉のことをけっして忘れないでください。
「恋は盲目」と言いますが、この曙の女神は「恋はうっかり」でしょうか。
曙の女神エーオースは、朝早くアポローンの前で、天への道を登っていきます。この女神が愛したのが、美青年ティトノス。あのトロイア戦争の時の王プリアモスの兄弟です。
トロイア王家は、美青年が多く輩出する家系ですね。ゼウスに連れ去られたトロイア初代の王トロースの子ガニュメデス、パリスは「神にも見紛う」と『イリアス』では表現されています。パリスの兄ヘクトールも、絵画ではイケメンです。そして、このティトノスも美青年です。
「ティトノスと永遠に一緒にいたい!」
曙の女神エーオースはゼウスにお願いして、ティトノスを〈不死〉にしてもらいました。
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後悔したエーオースはティトノスに見切りをつけ、彼をセミに変えてしまいました。
一体、何があったのでしょうか?
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【曙の女神エーオース】
ルイ・ジャン・フランソワ・ラルグネ〈アウロラ(エーオース)の出発〉