1話5分で読めるギリシャ神話

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鷹になったダイダリオン

鷹

ダイダリオンの荒い気性

「あらゆる鳥たちを怖がらせているあの鷹という鳥は、はじめから鳥類だったのでしょうか?実は、人間だったのです。その性格は鳥になった後も前も変わらないものです」
ダイダリオンの弟ケユクスは、語りました。

ダイダリオンとケユクスの兄弟は、あの明けの明星と曙の女神(エーオース)の子供です。弟ケユクスは平和を愛しているのに、兄のダイダリオンは、争い事が大好きな気性の荒い性格です。

ヘルメースとアポローンに愛されたキオネ

ダイダリオンには、美しいキオネという娘がいました。14歳の適齢期をむかえると、その美貌からたくさんの求婚者がやってきました。アポローンとヘルメースの両神にも見初められました。

アポローンは礼節を守り、夜まで待ちました。が、ずる賢いヘルメースはとても我慢ができません。その杖がキオネに触れると、彼女はたちまち眠りに落ちました。その間に、ヘルメースは彼女を抱きました。
夜になって、アポローンが老婆に姿を変えて、キオネのところにやってきました。安心した彼女は老婆を家に入れました。その夜、アポローンは神である姿を現わすと。やはり彼女を抱きました。

キオネは両神の子を身ごもり、ヘルメースの子でずる賢い策略に飛んだアウトリュコスと、アポローンの子竪琴の名手ピラムモンの双子を産みました。

ジェサ・マロッティによるアルテミス
ジェサ・マロッティ〈アルテミス〉

アルテミスの激怒

キオネはアポローンとヘルメースの両神の愛を得て、双子を産んだことを驕り高ぶりました。アルテミスより、自分の方が美しいと言ってしまったのです。

アルテミスが許すはずもありません。
「でもね、わたしのやり口は、あなたのお気に召すはずよ」
女神はすぐさま弓を取り出すと、その矢でキオネの舌を射抜きました。自業自得の罰です。キオネはその痛みを話すこともできず、流れる血とともに命を終えました。

キオネの火葬

弟ケユクスの慰めが、ダイダリオンの心に届くことはありません。何も言っても、その耳には入りません。キオネの遺体が焼かれる時、父ダイダリオンは4回もその火に飛び込もうとしました。弟とまわりの人々にに押しとどめられると、狂ったように走り出しました。その速さは人間とは思われず、足に翼が生えたとしか思われません。

断崖から飛び降りるダイダリオン

道なき野や森の中を駆け抜けると、ダイダリオンはパルナッソス山を駆け上がり、その断崖から身を投げました。哀れんだアポローンが、その姿を鷹に変えました。鷹になったダイダリオンの荒い気性はそのままです。だから今でも鷹は、あらゆる鳥たちに猛威を振るっているのです。その娘を亡くした哀しみゆえに。

ダイダリオンの弟ケユクス(ケーユクス)のその後は、こちらの話をどうぞ。
カワセミの話 アルキュオネー